抄録
近年,脂肪酸組成が新たな牛肉の評価形質として注目されている.赤身主体である日本短角種の牛肉中にも一定の脂肪交雑は認められるものの,脂肪酸組成に関する知見は少ない.そのため,日本短角種279頭を材料にSCD, FASN, SREBP-1, GHの各遺伝子型が枝肉皮下脂肪の脂肪酸割合と枝肉形質に与える影響について混合モデルにより解析し,改良指標として検討した.脂肪酸割合の遺伝率は0.39-0.51であり,黒毛和種の報告と同様にC18:2の遺伝率が最も低かった.C14:0,C14:1でFASNとSCD, C16:1とC18:1でFASN, C18:0,C18:2,SFA, MUFAでSCDの遺伝子型の有意な効果があった.一方,GH遺伝子型の効果は認められず,SREBP-1は多型が確認できなかった.材料を蓄積して引き続き検証が必要であるものの,相加的遺伝分散に占める1遺伝子型の効果は10-40%とおおむね高い値が推定された.日本短角種においても枝肉中の脂肪酸組成は黒毛和種と同様に遺伝的要因が強く,SCDやFASNの遺伝子型が改良マーカーとして活用できることが示唆された.