2018 年 89 巻 2 号 p. 235-243
日本各地において食肉のブランドづくりが盛んに行われているが,産地間競争や国際競争が激化する中で強いブランドを構築する重要性は益々高まっており,その効果的な手法の確立が求められている.そこで本稿では,食肉のブランドづくりにおける示唆を得ることを目的として,銘柄食肉の管理担当者に対するアンケート調査を実施し,どのようなブランディング活動が銘柄の業績に影響を与えているのか,その関係性について重回帰分析により検証した.調査の結果,①独自コンセプトをもつこと,②消費者との交流,実食によるプロモーションをしていること,③ブランドづくりを推進する組織間で連携していること,④パッケージなどのデザインや見た目を重視していること の4つの活動が食肉銘柄の業績に対して正の影響を与えていることが明らかとなり,特に,「独自コンセプトをもつこと」の重要性が高いことが示された.