日本臨床外科学会雑誌
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症例
長期にわたりインターロイキン-2を投与した原発性乳腺血管肉腫の1例
甫喜本 憲弘杉本 健樹船越 拓小河 真帆花崎 和弘
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2012 年 73 巻 4 号 p. 786-791

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抄録

われわれは若年者の乳腺血管肉腫の1例を経験したので報告する.症例は27歳の女性.約1年前より左乳房腫瘤を自覚していたが,徐々に増大するため前医を受診.葉状腫瘍と診断され当科を紹介された.初診時,左BDEに7×6cm,C領域に5×5cmの比較的境界明瞭な腫瘤を触知した.所見より葉状腫瘍を疑い,初診2週間後に腫瘍摘出術を施行したが,腫瘍は初診時より増大し,新たにD領域にも腫瘤を認めた.病理診断は血管肉腫で,断端陽性であった.また手術時,すでに右乳房A~C領域にも最大3cmの腫瘤を3個認めており,背部に皮下腫瘤を3個認め,内1個を生検し血管肉腫と診断された.後日,左乳房切除を行うとともに,判明していた腫瘤をすべて摘除した.複数回の腫瘍切除術を行いながら,抗癌剤治療やインターロイキン-2製剤の投与を行ったが,最後は多発皮膚転移巣からの出血コントロールが困難となり,初診から3年4カ月後に死亡した.

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© 2012 日本臨床外科学会
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