2020 年 91 巻 3 号 p. 185-191
日本在来馬の一種である野間馬の毛色遺伝子の多様性を明らかにすることを目的に,拡張,アグチおよび芦毛の各遺伝子の頻度をMC1R,ASIPおよびSTX17遺伝子の多型解析によって分析した.また,個体の毛色をL*a*b*表色系(CIE1976)による色彩色差計測によって数値化し,毛色間の比較を行うとともに主成分分析によってその傾向を評価した.その結果,野間馬集団ではいずれの遺伝子座においても潜性遺伝子の頻度が高く,毛色について配慮した交配の影響があることが推察された.色彩色差計測の結果では,各毛色間において明瞭な差異は認められなかった.得られた値について主成分分析を行った結果,栗毛,鹿毛および青毛は連続した分布を示し,毛色について明確に区別することはできなかった.本研究の結果から,野間馬集団の毛色においては,既知の拡張,アグチならびに芦毛以外の新たな遺伝子による関与の可能性が示唆された.