2023 年 94 巻 2 号 p. 161-168
近年,反芻家畜の生産において「人間の食料と飼料との競合」や「ルーメン由来のメタンの排出」が問題となっている.これらの課題の解決は,持続可能な畜産を実現するために必要不可欠である.本総説ではその解決策の一つとして考えられる,食品製造副産物の飼料化やメタン抑制効果のある飼料について概説をした.食品製造副産物は高い栄養価を含むものが多く,家畜飼料として有用である.さらに,食品製造副産物の利用は廃棄する予定だった大量の副産物を再利用することができるため,廃棄にかかる処理費の削減や,環境負荷の軽減にもつながる.メタン抑制効果のある飼料として油脂や脂肪酸の給与は有用であり,様々な研究が行われている.ただし,ルーメン微生物叢へ影響を及ぼすため,メタン低減と同時に生産性へ影響してしまう可能性もあり,給与量や脂肪酸の種類などに注意して利用しなければならない.