2023 年 94 巻 2 号 p. 209-218
北海道内10農場で農場のアニマルウェルフェアスコアと乳牛1頭あたりの年間疾病治療件数および家畜共済掛金との相関関係を調べた.アニマルウェルフェア評価には動物,施設および管理ベースから成る評価法を用いた.各ベースのスコアと評価法全体の総スコアとして,それぞれの基準を満たした評価項目の割合を算出した.総スコアは第四胃変位,卵胞嚢腫,乳熱および関節炎の治療件数と負の相関傾向を示した.動物スコアは第四胃右方変位および産褥熱と,施設スコアは第四胃右方変位および乳熱と,管理スコアは第四胃右方変位および関節炎の治療件数との間にそれぞれ有意な負の相関関係を示した.搾乳牛および育成乳牛の死亡廃用共済掛金は総スコアと負の傾向傾向を示した.以上の結果からアニマルウェルフェアレベルを高めることで乳牛の健康を増進できる可能性が示唆された.疾病を予防することで健康問題による生産性低下や経済的損失の抑制が期待される.