日本畜産学会報
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ブルーチーズの微生物に関する研究
I. ブルーチーズ熟成中における微生物群
金内 稔郎吉岡 八洲男浜本 曲男
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1961 年 32 巻 2 号 p. 104-108

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抄録

ブルーチーズの微生物群の実態を把握するために,北海道(遠浅)産の製品について,熟成中の微生物群の推移を検討した.
結果を要約すれば,次のとおりである.
(1) チーズ中の細菌は,熟成期間中107~108/g程度の菌数を保持する.生物学的性状により,これらの細菌は4群に分けられた.そのうちで優勢なものは乳酸桿菌群である.
(2) 乳酸菌スターターに由来すると考えられる乳酸連鎖球菌群は,熟成初期のうちに減少した.
(3) 熟成初期に急激に増加する酵母も,チーズの優勢な微生物群である.これは熟成期間中107~108/gの菌数を保持し,生物学的性状によつて3群に分けられた.このうちで,乳糖発酵性の酵母が常に優勢であつた.
(4) チーズの中心部と外側部とでは,菌数にも,微生物群の構成状況にも大差がない.
(5) かびスターターとして接種されたかびは,熟成期間中107~108/gの菌数を保持した.
(6) チーズの表面に出現するSlimeは,109~1010/gの細菌数,109~1010/gの酵母数,106~107/gのかび数を示したが,チーズの内部とは全く異なる菌相構成を示し,細菌では乳酸菌以外のミクロコッカス群(Micrococcaceae),ブレビバクテリア群(Brevibacteriaceae)が多く,酵母では乳糖非発酵性および産膜性のものが優勢であつた.

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