日本畜産学会報
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ハムスターにおける卵胞卵子のステロイド代謝に関する組織化学的研究
新村 末雄佐々木 博之石田 一夫
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1980 年 51 巻 3 号 p. 192-196

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抄録

原始卵胞から胞状卵胞までのハムスターの卵胞卵子について,Δ5-3β-hydroxysteroid dehydrogenase (Δ-3β-HSD), NADHZ2 dehydrogenase (NADH2-DH), NADPH2 dehydrogenase (NADPH2-DH)およびglucose-6-phosphate dehydrogenase (G-6-PDH)の組織化学的検出およびadenylate cyclaseの電顕組織化学的検出とを行った.その結果,Δ-3β-HSD活性は大型二次卵胞の卵子の細胞質に初めて出現し,胞状卵胞の卵子では強くなった.NADH2-DH, NADPH2-DHおよびG-6-PDHの活牲はいずれも小型二次卵胞の卵子の細胞質に初めて現われ,NADH2-DHとNADPH2-DHの活性は卵胞が成長するに従って強くなった.G-6-PDH活性は常に強かった.adenylate cyclase活性は小型二次卵胞から胞状卵胞に至るまでの卵子の細胞膜に常に中等度に観察された.以上の結果から,(1) ハムスターの卵胞卵子は大型二次卵胞の時期からステロイドの合成能を持ち始めること,(2) G-6-PDHによって生産されたNADPH2はステロイド合成のために利用されることが示唆される.

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