日本畜産学会報
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飼料中マーガリン酸の取り込み率から推定したラード飼料給与鶏ヒナの体脂肪蓄積量
高橋 和昭秋葉 征夫松本 達郎
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1980 年 51 巻 3 号 p. 197-203

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抄録

14日齢の白色レグホン種雄ビナを同一代謝エネルギー摂取量および同一蛋白質摂取量の条件下において,グルコース飼料(2%脂肪含量)またはラード飼料(12%脂肪含量)を給与し,脂肪酸の指標としてマーガリン酸およびラウリン酸を用いて,体脂肪からの脂肪酸の消失率を求めた.また体脂肪量に増減のない状態における脂肪酸の変動を測定して,脂肪酸取り込みの正味の増加率と体脂肪蓄積量の増加との関係についても検討した.エネルギー摂取量を70%に制限した区では体脂肪量の増減は認められなかったが,飼料に添加したマーガリン酸の体脂肪への取込みは認められた.ラウリン酸の体脂肪からの消失率はマーガリン酸に比べて高かったが,これらの消失率はともに飼料組成の違いによる影響はうけなかった.エネルギー摂取量100%区では,体脂肪蓄積量は増加した.この場合のマーガリン酸の蓄積量から,体脂肪量に増減のない状態で蓄積されたマーガリン酸量を差し引いて求めた正味のマーガリン酸取り込み率は,ラード飼料給与ヒナでは約18%,グルコース飼料給与ヒナでは約3%となり,両試験飼料間の体脂肪蓄積量の変動とほぼ一致した.これらのことは,ラード飼料給与ヒナの体脂肪蓄積量の60%以上が飼料中脂肪の直接取り込みに由来し,グルコース飼料給与ヒナの体脂肪蓄積量の90%以上が炭水化物,または蛋白質からのde novo合成に由来することを示している.またラード飼料給与による体脂肪蓄積量の増加は,給与脂肪酸の体脂肪への直接取り込み量の増加が主たる要因であることを示唆している.

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