日本畜産学会報
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豚ふんの悪臭物質について
崎元 道男宮崎 昭雄
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1980 年 51 巻 5 号 p. 319-324

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抄録

畜産における適切な防臭を行うための基礎研究として,豚ふんの水蒸気蒸留物のうち,悪臭の主成分を含む中性および酸性物質について,悪臭起因物質の解明を行った.排泄直後の豚ふんを常圧水蒸気蒸留(pH2)し,その留出液をエーテル抽出し,常法により中性および酸性画分のエーテル抽出物を得た.1) 酸性画分は強い低級脂肪酸(VFA)臭を呈し,低沸点化合物としてC2~C5の低級脂肪酸,および高沸点化合物としてC10~C18の高級脂肪酸,benzoic acid, phenylacetic acid, phenylpropionic acidを同定した.2) 中性画分は,排泄直後の豚ふんに酷似した臭気を呈し,悪臭の主要構成成分であると考えられた.中性画分はさらにシリシックアシッドカラムクロマトグラフィーにより5つの画分に分け,furfural, p-cresol, skatoleを確認するとともに,豚ふんからの新化合物として12-methyltridecanal, 12-および13-methyltetradecanal, n-octadecanal, 9-および11-octadecenal, 9,12-octadecadienal, n-pentadecanol,およびn-hexadecanolを同定した.

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