日本畜産学会報
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御崎馬における子馬のハーレム群からの独立
加世田 雄時朗野澤 謙茂木 一重
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1984 年 55 巻 11 号 p. 852-857

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抄録
1978年から1983年の間に,63頭の子馬について生来のハーレム群から離れるときの行動と年令および離れた後の行動を月に1~2回の割合で調査した.ほとんどの子馬は,1~4歳までの性成熟に達する前に生来の群を離れた.子馬が生来の群を離れるときの行動は,子馬だけがハーレム群から離れるものと,いったん,母馬とともにハーレム群から離れて,しばらく母子でいっしょに生活した後,母馬から離れるものに大別された.前者よりも後者の方が離れる年令がおそくなる傾向があった.離れるとぎの年令は,次子(弟妹)の出生と密接に関係しており,次子が生まれた42頭中33頭の子馬が次子が生まれた年に群あるいは母馬から離れた.次子が生まれなかったり,生後間もなく死亡した19頭の子馬の中,群を離れたのはわずかに3頭であった.生来のハーレム群あるいは母馬から離れた後,雌子馬は他のハーレム群や若雄馬と去勢馬だけの群(若雄群)をいくつか変った後,性成熟に達する2~3歳までには特定のハーレム群のメンバーになり,その種雄馬と安定した配偶関係を持つようになった.一方雄子馬は,いくつかの若雄群を変った後,性成熟に達する4~5歳頃から単独でそれらの群を離れて,独自の雌馬を獲得するために既成のハーレム群の周辺をはいかいするようになった.
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