1988 年 59 巻 4 号 p. 344-350
血液中および乳汁中に含まれている免疫グロブリンと,Staphylococcus aureusの産生するプロテインAとの相互作用は,免疫グロブリンの各クラス,サブクラス間でさらには動物種間でその様式は微妙に異なっている.ウシ免疫グロブリンのIgGクラスでは,IgG 1はプロテインAと相互作用せず,IgG 2が相互作用をする事がプロテインA-セファローズCL-4 Bを用いたアフィニティークロマトグラフィーで確かあられた.さらにIgG 2のヒスチジン残基をジエチルピロカルボネートによりエトキシホルミル化したところ,4.2-8.3個のヒスチジン残基が修飾され,かつ7.7個以上修飾されたIgG 2ではプロテインA-セファローズカラムへの結合能は全く見られなくなった.ヒドロキシアミンにより修飾基を脱離すると,プロテインA-セファローズカラムへの結合能が回復し,ウシIgG 2とプロテインAとの相互作用にIgG 2のヒスチジン残基の寄与が不可欠である事が示された.