日本畜産学会報
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マウス腹腔マクロファージの食作用と亜硝酸塩生成に及ぼす牛乳蛋白質の影響
大谷 元二上 美和子
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1994 年 65 巻 5 号 p. 423-431

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抄録

チオグリコール酸誘導マウス腹腔マクロファージによるラテックスビーズの取込みと亜硝酸塩の生成 に及ぼす牛乳蛋白質の影響をサルモネラ菌由来のリポ多糖(LPS)存在下,および非存在下で調べた. αs1-カゼイン,κ-カゼイン,IgGおよびラクトフェリンはLPS存在下および非存在下ともに用量依存的 にラテックスビーズの取込みを抑制し,β-カゼインとα-ラクトアルブミンは促進した.また,β-ラクトグロヅリンと血清アルブミンはラテックスビーズの取込みに対して統計的に有意な影響を示さなかった.一方,亜硝酸塩の生成においてもαs1-カゼイン,κ-カゼイン,IgGおよびラクトフェリンは抑制的に,β-カゼインとα-ラクトァルブミンは促進的に作用することが示された.しかし,それら各牛乳蛋白質を添加して48時間培養したマクロファージの生細胞数と牛乳蛋白質を添加しないで培養したマクロファージの生細胞数の間に統計的有意差は見られないことから,それら各牛乳蛋白質はマクロファージに対して個々の細胞レベルでの活性化に作用していることが示唆された.

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