1994 年 65 巻 5 号 p. 454-463
黒毛和種の去勢雄牛を用いて,胸最長筋の第6胸椎(LTI面),第11胸椎(LTII面)および第5腰椎(LTIII面)位の背側,中心,腹側,内側および外側部における筋線維型構成について,脂肪交雑度の高かったA群(Beef Marbling Standard No. 5以上)と低かったB群(Beef Marbling Stand- and N.4以下)間で比較検討した.筋線維は,酵素組織化学的に,βR型筋線維(slow-twitch oxida-tive fibers),αR型筋線維(fast-twitch oxidative fibers)およびαW型筋線維(fast-twitch glycolytic fibers)に区別された.両群の胸最長筋において,筋線維型構成は,LTI面でLTIIおよびLTIII面よりもβR型筋線維が多く,αW型筋線維が少なかった.これに対しαR型筋線維の構成割合はLTI, LTII, LTIII面において変化を示さなかった.一方,LTIIとLTIII面間には筋線維型の構成割合の変化は見られなかった.A群のLTI面では背側部でβR型筋線維の構成割合が最も高く,腹側部で最も低く,それに対しαW型筋線維の構成割合は背側部で他の4部位よりも有意に低かった.LTIとLTIII面間において,B群はA群よりもαR型筋線維の構成割合が有意に高かった.筋線維の直径はLTI面のαR筋線維とαW型筋線維がB群でA群よりも有意に大きかった.