日本畜産学会報
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ファブリシウス嚢におけるグルココルチコイド誘導性のアポトーシスに対するユビキチンの関与
神谷 誠治土井 守仲舛 文男赤山 照也中村 孝雄
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1997 年 68 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

グルココルチコイド(GL)を投与したニワトリヒナのファブリシウス嚢(F嚢)におけるユビキチン含量を調べ,F嚢リンパ細胞におけるGL誘導性のアポトーシスに対するユビキチンの関与について検討した.デキサメタゾン(Dex)投与24時間ならびに48時間後のF嚢のユビキチン含量を調べた結果,Dex投与区の値は,非投与区またはビークル投与区より少なく,その差は統計的に有意(p<0.01)であった.また,非投与区とビークル投与区との間にはほとんど差はなかった.さらに,Dex投与前および投与後1,2,4,6,12,24時間目に採取したF嚢のユビキチン量を調べた結果,投与1,2時間目ではユビキチン量は増加し,2時間目は投与前よりも有意に(p<0.05)多い値であった.その後は経時的に減少し,投与24時間目の値は投与前の値より有意に(P<0.05)少なかった.GL投与1,2時間目のユビキチン量の一時的な増加は,アポトーシスの発現過程における核DNAの断片化に関与していると考えられた.また,その後のF嚢のユビキチン量の減少は,リンパ細胞の生存率の低下を反映したものであると思われる.

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