日本畜産学会報
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肉用牛の枝肉形質に関するクローン検定の検討
広岡 博之
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2000 年 71 巻 7 号 p. 19-25

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抄録

肉用牛の枝肉形質に関するクローン産子を用いたクローン検定とそのクローン検定と後代検定を組み合わせた組み合わせ検定における相加的遺伝標準偏差単位年当たりの遺伝的改良量(以降,遺伝的改良量と呼ぶ)を比較し,またそれらの検定システムにおける最適なクローングループサイズを調べた.クローン検定では,クローンメンバーのうち1頭が候補個体として残され,他のクローンメンバーが検定に供される.一方,組み合わせ検定では,選抜の正確度を高める目的で,候補個体が,クローン検定後に後代検定に供され,そのクローン検定と後代検定の情報より選抜指数式によって選抜される.本研究では,比較はすべて,選抜された候補個体に対する検定個体の数の比で表される検定比(K)を一定とする制限の下で行った.クローン検定においては,検定比(K)の増加に伴って,遺伝的改良量(ΔG)と最適なクローングループサイズは増加した.組み合わせ検定でも,Kが大きくなるにつれて,最適なクローングループサイズは増加し,また後代のグループサイズの増加に伴って,遺伝的改良量は低下した.非相加的遺伝子効果が存在すると仮定されたとき,遺伝的改良量は低下し,最適なクローングループサイズは小さくなった.クローン検定システムにおいては,いずれの場合にも,現行のわが国の後代検定システムよりも高い遺伝的改良量が得られた.

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