日本畜産学会報
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育成牛第4胃への栄養素注入が血漿ガストリン•セクレチン濃度に及ぼす影響
西口 靖彦兼松 伸枝宮本 進
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2000 年 71 巻 7 号 p. 39-45

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抄録

育成牛のガストリンおよびセクレチンの血中濃度に影響を及ぼす物質を検索するため,ホルスタイン去勢育成牛5頭を用いて第4胃カニューレを通じた栄養素注入実験を行った.注入物は重炭酸ナトリウム,グルコース,揮発性脂肪酸(酢酸,プロピオン酸,n-酪酸),カゼイン,大豆タンパク液ならびに大豆油とし,それぞれの溶液600mlを30分間で注入して血漿ガストリンおよびセクレチン濃度の推移を調査した.血漿ガストリン濃度は重炭酸ナトリウムおよびタンパク質注入で有意に増加した.これらは単胃動物での研究報告と概ね一致した.タンパク質では大豆タンパク液において,カゼインと比べてタンパク質濃度が低いにもかかわらずガストリン分泌刺激能が高かった.脂肪酸や他の物質ではガストリン濃度に影響を及ぼさなかった.血漿セクレチン濃度はいずれによっても変化は認められなかった.このことは反芻家畜では栄養素によるセクレチン分泌調節が小さいものと推察された.

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