日本畜産学会報
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去勢雄見島牛の骨格筋に関する組織化学的研究
守田 智岩元 久雄福満 裕二後藤 貴文西村 正太郎尾野 喜孝
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2000 年 71 巻 7 号 p. 51-59

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抄録

見島牛の去勢牛4頭(平均月齢35.8ヵ月,平均体重517.5kg)を用い,21個の骨格筋について組織化学的観察を行った.連続凍結切片を作成して,アルカリあるいは酸処理後のmyosin ATPase活性とNADH脱水素酵素活性を検出し,筋線維をβR型,αR型およびαW型に分類した.腹鋸筋ではβR型筋線維を酸処理後のmyosin ATPase活性が強いβR. (S)型とやや弱いβR (M)型にさらに区別できた.NADH脱水素酵素活性はβR型で最も強く,フォルムアザン顆粒が筋鞘下に集積すると同時に中心部にも密に分布していた.しかし,腹鋸筋や上腕三頭筋内側頭のような骨格筋では同顆粒がやや大きいが,筋鞘下への集積が少なく,βR型筋線維全体に均一に分布していた.これに対して,αR型筋線維では中心部で粗な顆粒分布を示した.αW型筋線維ではNADH脱水素酵素活性が極めて低く,前二者との違いが判然としていた.βR型筋線維が他のいずれかの型に対して明らかに小さな直径を示したのは2個の骨格筋にすぎず,全体的に良く発達することが示された.また,見島牛では腹鋸筋の発達が良く,姿勢保持に関与するβR型筋線維が面積割合で79%を占めることが明らかになった.

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