牛乳のクリーミング現象に関与する乳成分を明らかするため,静置して分別したクリーム(静置クリーム)と脱脂乳,遠心して分別したクリームと脱脂乳(遠心脱脂乳),両脱脂乳から得た限外ろ過液,ならびに両クリームと両脱脂乳を加熱処理(65°C,30分)したものを組み合わせて混和した再構成乳のクリーミング状態を比較検討した.その結果,静置クリームと遠心脱脂乳のクリーミング能が高いこと,これらの乳清にはP1画分(乳清をゲルろ過したとき排除体積近傍に溶出する高分子量画分)が多いことを見出し,脂肪球の凝集に乳中のP1画分が関与することを明らかにした.このP1画分のSDS-PAGEパターンは,乳脂肪球皮膜のものと近似していた.また,P1画分には低温下で凝集し加温により消失するが,再び冷却すると凝集する可逆的な低温凝集性を示す物質が存在していた.