日本畜産学会報
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畜肉,家禽肉および魚肉タンパク質の熱耐性とNa-Gluの変性抑制効果
川上 耕実石下 真人鮫島 邦彦新井 健一
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2000 年 71 巻 7 号 p. 69-74

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抄録

グルタミン酸ナトリウム(Na-Glu)は魚の筋原線維(Mf)タンパク質の熱変性を抑制することが既に知られている.しかし,畜肉については調べられていない.そこで本研究では畜肉のMfについて,Ca-ATPaseを指標としてその熱変性速度を求め,パシフィック•ホワイテイング(PW)とスケトウダラのMfのそれらを熱力学的に比較すると共にNa-Gluの熱変性抑制効果をも比較検討した.結果は,ニワトリ,ウシおよびブタのMfは同程度に熱耐性が高いこと,PWおよびスケトウダラはそれらより熱耐性が著しく低いことを示した.Na-Gluによる熱変性の抑制効果は,ニワトリとブタのMfでは近似したが,ニワトリのアクトミオシンとPWのMfではNa-Gluの濃度によって異なる2段階の効果を示した.2段階の変性抑制効果は,熱耐性の弱いMfではNa-Gluの添加がタンパク質の構造変化を導いた結渠であると推察した.

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