日本畜産学会報
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黒毛和種育成牛のロープ誘導能率に及ぼす初期訓練および哺乳方法の影響
小迫 孝実井村 毅
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2000 年 71 巻 7 号 p. 75-81

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抄録

黒毛和種子牛18頭を供試して,出生直後の誘導訓練および3ヵ月齢までの哺乳方法が,育成期におけるロープ誘導能率の改善に及ぼす影響を検討した.初期訓練は,生後7日間1日1回20分間,子牛のヒトへの追随反応を利用した誘導によって行った.哺乳方法は,牛舎内での人工哺乳あるいは放牧地での自然哺乳とし,離乳後は1群として飼育管理した.4ヵ月齢におけるヒト接近時の逃走距離は,初期訓練した人工哺乳群が最も短く,それ以外の3群は同程度であった.7ヵ月齢において個体ごとに捕獲後10mの距離をロープ誘導する作業テストを合計6回実施した.捕獲に要する時間は,当初人工哺乳群が自然哺乳群よりも短かったが,自然哺乳群の慣れとともにその差は次第に消失した.テストを重ねるにっれて,人工哺乳群の誘導に要する時間は短くなったが,自然哺乳群では逆に長くなり,テスト4日目以降にはその差は統計的に有意になった.初期訓練は,人工哺乳群に対してはヒトへの親和性を高め,ロープ誘導時間を短縮させる効果があったが,自然哺乳群に対してはほとんど効果がなかった.

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