理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP659
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運動学
結果の知識の付与が片脚立位平衡の両側性運動転移に与える影響
*森岡 彩間部 千加恵森岡 周宮本 省三
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キーワード: 運動転移, 片脚立位, KR付与
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抄録
【はじめに】 我々は第37回本学会にて,バランス機能において視覚と体性感覚フィードバックを与え,両側性転移が起こるかを検討した。その結果,運動転移に対する体性感覚の重要性が示唆された。しかし,KR付与において条件設定を行っておらず,このことは少なからず学習に影響を及ぼす可能性が考えられた。今回は,KRの付与のデザインを設定し前回の結果と比較検討した。 【方法】 健常女性12名を被験者とした。 課題は,被験者の軸足を支持脚とし,対側の非支持脚下にボールと体重計を設置した片脚立位保持とした。この時,非支持脚の荷重量を体重の10%に設定し閉眼にて課題肢位をとらせた。被験者をトレーニングI群(I群)6名,トレーニングII群(II群)6名に分け,2人1組にて課題を1日10秒×10回,4週間行った。なお,I群では10秒間の課題遂行の際,パートナーが言語的フィードバックを与えそれを保持することを目標としたものである。II群では10秒間の課題遂行時, パートナーからのフィードバックは与えず3秒間のKR遅延,5秒間のKR付与,5秒間のKR後遅延の計13秒の試行間間隔を設定し,これを1セットとした。また,KR付与は直接体重計を見せ,体重の10%を確認させた。また,学習効果の持続を確認するため訓練終了から4週後に保持テストを実施した。 効果は,トレーニング前後,4週後に左右片脚立位時の重心動揺測定(各10秒間)により判定した。なお,測定は開眼,閉眼両条件で行い,パラメータは総軌跡長,矩形面積とした。トレーニング前の値を基準として減少率を算出し,トレーニング前後の比較を行った。またトレーニング後と保持テストの値を比較し,学習保持の程度を確認した。統計処理は対応のあるT-testを用いた。 【結果】 1)トレーニング前後での減少率の比較:I群とII群を比較すると, 閉眼時の支持脚,非支持脚片脚立位の総軌跡長(p<O.01), 矩形面積(p<O.05)両者ともにI群の有意な減少が認められた。開眼時の支持脚片脚立位の矩形面積ではII群の有意な減少が認められた(p<O.05)。 2)トレーニング後と保持テストの比較:両群共にすべての項目で有意差は認められず,ある程度学習が保持されていると考えられた。しかし,II群においてはトレーニング後より保持テストの重心動揺の方が減少しており,通常の運動学習のパターンと異なる結果となった。 【考察】 結果では4週間のトレーニングでI群で支持脚,非支持脚片脚立位時において重心動揺は減少し両側性運動転移が認められた。しかし同様にII群でも閉眼にて課題を遂行することで体性感覚フィードバックを利用したにもかかわらず両側性転移は認められなかった。この結果は視覚情報に基づくKR付与がパフォーマンスの向上を阻害した可能性が示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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