理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP243
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
国体女子サッカーチームにおける外傷・障害調査
*久保 雅昭浅原 堅次関屋 昇深谷 茂
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抄録
【はじめに】K県サッカー協会では、昨年まで国体チームトレーナーを学生が行なっていた。今年度よりK県サッカー協会医事委員会(以下医事委員会)からの推薦によるトレーナー制度が開始され、7月から参加した。この制度は、障害のある選手に対するリコンディション、コンディション調整、障害予防についての検討を目的にしたものである。リコンディションについての報告は多くされているがコンディション調整や障害予防については十分に確立されておらず、これらには検討の余地を感じる。そこで、今回は国体期間中の女子サッカー選手の外傷・障害を調査した。【対象と方法】対象は国体女子サッカーチームに所属する選手17名(年齢18から29歳)。方法は医事委員会整形外科医師らと大会前に検討・作成した障害報告書を使用し、国体練習や試合後に記録を行った。大会終了後に報告書内容から障害種類、受傷部位、受傷機転を抽出し、検討した。【結果】障害数60例、障害種類(疑い)は筋肉の炎症性疾患(以下筋疲労)が17例・28%と最も多く、発生部位はハムストリングス8例・13%、股関節内転筋群5例・8%、大腿四頭筋3例・5%であった。次いで打撲が12例・20%(発生部位は大腿部前面・外側面に5例・8%)であった。最多受傷部位は下肢46例・77%(大腿部21例・35%、足部14例・23%)であり、慢性の足関節捻挫8例に足部テーピングを施行し、再受傷は0例であった。受傷機転は接触プレー13例(12例が打撲)、体調・コンディション不良47例であった。【考察・結論】山口らの成年男子国体チームの報告では87%が下肢障害、最多発生部位が足関節19%であった。藤村らの女子サッカー選手の報告では、下肢障害約90%、最多発生部位は足関節34%であった。我々の結果は諸家らと同様に下肢障害が最多であったが、受傷部位では異なり、大腿部が最多であった。これは慢性の足関節障害(捻挫)の予防としての足部テーピングが奏効し、大腿部の障害が相対的に多くなったと考えられる。筋疲労は国体チーム練習や試合の前に相談を受けることが多く、各所属チームとの掛け持ちによる疲労(肉体的・精神的)、捻挫・打撲等の他疾患の代償動作による影響があると考えられる。また発生部位がハムストリングス、股関節内転筋群、大腿四頭筋であることも興味深い結果であり、諸家らによる静的・動的な姿勢評価との検討が必要と考えられる。このように今回の調査では評価が不十分であり、今後データの分析・検討を蓄積していく必要性を感じる。また約12週間帯同した際、選手は腰痛や捻挫等では通院して治療することはないものの、大きな外傷には不安を持っているように感じた。このため、グランド等の限られた環境条件でも再現性のあるテストバッテリーの考案・検討がコンディション調整、障害予防には必要であることが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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