理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP250
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
乳癌術後における理学療法のクリティカルパスとその導入結果
*木口 和明上村 恭生前本 英樹岡嶋 啓一郎
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抄録
【はじめに】昨今は医療情勢により入院期間が短縮傾向にある。当院における乳癌手術症例も入院期間の短縮のためにクリティカルパス(以下CPと略す)を作成し、術後2週間で退院予定となっている。したがって理学療法も退院までの短期間で肩関節運動機能の回復を図る必要がでてきた。そこで理学療法の訓練内容を見直し、乳癌術後のCPに合わせて理学療法のCPを作成した。このCPが実際有効であるのか検証し報告する。【対象】当院にて2002年7月から11月までに乳癌切除術を施行した入院患者8名(女性8名)、平均年齢55.3±13.5歳を対象とした。対象の術式は胸筋温存乳房切除術4例、乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術)3例、乳腺悪性腫瘍手術(乳房温存術)1例で、全例が術前に術側肩関節の運動制限を有していなかった。【研究方法】理学療法がCPで設定した各段階に実際に到達した日数、術側肩関節のADL障害が残存しない程度の可動域(屈曲外転160度、外旋90度)までの改善に要した日数、理学療法実施期間、術後入院期間を調査した。【乳癌術後理学療法のCPの概要】第一段階(術後翌日):肩関節より末梢の運動、第二段階(術後3日目):肩関節屈曲運動、第三段階(術後4日目):肩関節外転運動、第四段階(術後5日目以降):肩関節のその他の運動及び複合運動としている。【結果】理学療法内容が次段階へ移行した日数は第一段階が術後平均1.0±0日、第二段階が術後平均3.9±1.0日、第三段階が術後平均4.9±1.0日、第四段階が術後平均6.0±0.9日であった。術側肩関節でADL障害が残存しない程度の可動域までの改善に要した日数は術後平均6.4±0.7日であった。理学療法実施期間は平均17.5±11.1日で、術後入院期間は平均19.0±10.7日であった。【考察】今回の乳癌術後CPで理学療法プログラムが円滑に進んだ理由として、術前に理学療法の治療内容を患者に説明してCPの流れを理解してもらい、手術翌日から理学療法を開始できたことや、最近の乳癌手術は可能な限り手術侵襲を少なくする胸筋温存手術、乳房温存手術が主流であり、今回の対象症例も全例がこの手術侵襲が少ない手術であったことが要因として考えられる。また問題となるような術後浮腫が生じなかったことも幸いしたと思われる。このCPは手術侵襲の少ない乳癌手術に対して有用だと思われるが、今後、胸筋切除や神経切除など侵襲が大きい術式に対応したCPを作成する必要がある。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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