理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP594
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
年齢・性差による筋力の比較
頚部屈伸筋力について
*本田 憲胤武田 芳夫永吉 里香斉藤 務濱村 和恵片山 優子浜西 千秋
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キーワード: 頚部筋力, 屈伸比, 加齢
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抄録
【目的】筋力測定機器として等速運動機器が普及しているが、高価で操作も煩雑である。また、徒手筋力検査(MMT)では順位尺度の評価で客観性に乏しい。そこで、簡易的に使用できるhand-held dynamometer(HDD)を用い頚部の屈伸筋力を測定し年齢・性差による比較を行い、さらに頚部に疾患の存在する患者と比較検討することを目的とした。【対象】健常群34名(男性15、女性19)。年齢19から76歳。頚部、体幹に痛み・変形・筋力低下などの異常がない者を対象とした。症例群12名(男性5、女性7)年齢58から78歳。頚椎症性脊髄症・頚椎骨軟骨症など、頚部に疾患を有しそれらの疾患に対し手術を受けていない患者を対象とした。【方法】HOGGAN HELTH社製MICROFETを用い被検者に必要な説明を行った後、頚部の屈曲、伸展を等尺性で3回測定しその最高値を求めた。測定肢位はMMTに準じて設定し抗重力肢位で行った。また、体幹筋の影響をできるだけ取り除くため十分な固定を行った。男・女別にA・B、高齢者・若年者をC・D、症例をEのGroupに分け、それぞれAB、CD、CEで屈伸筋力と屈伸比(屈曲/伸展)の比較を行った。統計処理はエクセル統計を使用し、StudentのT検定を用い有意水準を5%とした。【結果】Group AからGroup Eの人数(n)、年齢はA、n15、37.3±22.4歳。 B、n19、41.1±23.8歳。C、n13、61.5±9.3歳。D、n21、21.5±3.8歳。E、n12、68.3±6.1歳。であった。屈伸筋力の比較ではCE間の伸展で有意にEが低かった。(p<0.05)。また、屈伸比の比較ではCE間で有意にEが大きかった(p<0.05)。【考察】年齢による四肢筋力の比較は数多く成されており、加齢により筋力が低下するという報告がされている。しかし、頚部屈伸筋力は年齢・性別により変化しないことが分かった。この理由の一つとして、数多くの日常生活で頭部を屈伸または左右の中間で固定しているため、四肢筋に対して収縮頻度がはるかに多いためと考えられる。また、同年齢であっても頚部に疾患を有する者は、頚部伸展筋力が選択的に低下している。このことは、頚部に疾患を有するために伸展筋力が弱いのか。また、伸展筋力が弱いために頚部に疾患が起こるのか今後の検討課題としたい。さらに、疾患群に見られた伸展筋力の低下が起こす屈伸比の変化が、頚椎・胸腰椎のアライメントにどのように影響していくかも検討を進めていきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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