理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP754
会議情報

骨・関節疾患(整形外科疾患)
大腿骨頚部骨折術後患者における歩行能力と筋力・パフォーマンステストの関連
*小山 理惠子奥 壽郎西島 智子内藤 郁奈畑山 聡
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
はじめに:大腿骨頚部骨折術後患者の移動能力を規定する要素として膝伸展筋力値は重要である事は知られている。我々は、筋力測定機器を用いずに移動能力を知る手段が存在するか、さらに動作時の不安感や荷重時痛は歩行自立に関係するかといった疑問を持った。そこで、パフォーマンステストと動作時不安感、荷重時痛などの項目について歩行自立を反映するかを検討したので報告する。対象と方法:手術を施行し2001年1月以降に当院に入院又は通院した大腿骨頚部骨折患者のうち、後述するパフォーマンステストが施行可能であった29例(男性3例、女性26例)、平均年齢85±7歳を対象とした。測定時期は受傷後42±63週であった。歩行様式を要監視を含む自立群19例(以下自立群)と歩行器使用を含む要介助群10例(以下介助群)に分類した。両群間の年齢、骨折型、術式、受傷前移動能力に差はなかった。筋力測定はアニマ社製μTasMT-1を用い、最大努力下での等尺性膝伸展筋力を2回測定し、その最大値を体重で除した値を採用した。パフォーマンステストとして、立ち上がり動作、昇段能力、立位保持および片脚立位時間を測定した。立ち上がり動作、昇段能力(左右)は上肢支持無しおよび支持有りで可能な高さを5cm間隔で測定した。立位保持時間、片脚立位時間(左右)は上肢支持無しで可能な時間を測定した。尚、立位保持時間は90秒、片脚立位時間は30秒を上限とした。また、動作時不安感、荷重時痛についても測定し、Visual analog scale(VAS)を用いた。以上の項目について両群に差がみられるかを分析した。統計学的処理はMann-WhitneyのU検定を用い、5%を有意水準とした。尚、対象者には測定についての説明と同意を得た上で行った。結果と考察:各項目の平均値は自立群、介助群の順に、膝伸展筋力の体重比健側30%、20%、患側30%、20%、立ち上がり動作支持有り20cm、33cm、支持無し35cm、43cm、昇段能力支持有り健側27cm、17cm、患側21cm、15cm、支持無し健側17cm、5.7cm、患側13cm、4.3cm、立位保持76sec、66sec、片脚立位健側8.5sec、6.2sec、患側7.2sec、2.8sec、動作時不安感(VAS)2.7、3.7、荷重時痛(VAS)1.2、1.0であった。このうち膝伸展筋力、立ち上がり動作支持有り、昇段能力支持無し健側について有意差がみられた(P<0.05)。以上より、歩行自立群と介助群間には膝伸展筋力に差がみられ、他に上肢支持有りでの立ち上がり動作、上肢支持無しでの健側昇段能力についても能力差がみられた。この事は移動能力を推察するパフォーマンステストとして有効であることが示唆された。今後は、今回行ったパフォーマンステストと筋力との関連について検討したい。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top