理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP773
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
全人工膝関節置換術前後の筋力と発揮角度について
*松山 博文下之園 英明加藤 裕子杉原 建介今井 保
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抄録
(はじめに)今回、我々は全人工膝関節置換術(以下TKAとする)後の関節機能改善に伴う筋力の変化について、TKA前後の最大筋力とその発揮角度を測定し、若干の知見を得たので報告する。(対象と方法)対象は1998年2月から2000年2月に当院でTKAを施行した男性2例、女性6例の計8例(右4関節、左4関節)であった。平均年齢は72.9±6.8歳であった。症例は膝OA7例、関節リウマチ1例であった。TKAの使用機種はプロフィックスであった。膝伸展筋筋力の評価にはCYBEX norm770を使用し、角速度60゜/secで測定した。測定肢位は椅坐位で、体幹と大腿部をベルトで固定し、両上肢で坐面横の握りを把持させた。レバーアームの長さは足関節部より上に固定パッドの下縁が当たるように設定した。測定は術前と術後2ヶ月に行い、術側と非術側とも3回の練習後5回測定し、その5回中の最大トルク値を体重で除し、100をかけた値(体重比トルク値、以下%BW(%))を評価値とし、その筋力を発揮した角度を最大発揮角度とした。なお統計処理には、回帰分析と相関係数を用い危険率5%未満を持って有意とした。(結果)術側・非術側の60゜/secの膝伸展筋力の%BWの平均と標準偏差は、術側の術前が61.7±36.0%、術後が54.5±19.9%と術後低下傾向を示すが相関は認められなかった。非術側では、術前が96.8±47.8%、術後が88.0±44.4%と術側同様低下するがこちらは相関が認められた。(R=0.988、p<0.0001)最大発揮角度は、術側・非術側とも術前と術後では相関は認められなかったが、術前・術後の術側と非術側ではそれぞれ術前がR=0.98、p<0.0001、術後がR=0.96、p=0.0002と高い相関が認められた。(考察)今回の結果より膝伸展筋の%BWでは、術側・非術側とも術後筋力は低下傾向を示し、非術側では術前と術後で相関が認められた。これは入院中の活動性の低下のよる廃用性筋力低下と術側では術後の痛みの残存が影響したものと考える。最大発揮角度では、術側と非術側に術前・術後とも相関が認められた。このことから術側の術前・術後の発揮角度の変化が非術側にも影響したことが示唆される。以上のことから、術側の状態が非術側にも影響を及ぼしており、理学療法を行うにあたっては非術側の機能に関しても充分に留意する必要性があると考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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