理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP777
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
TKA後早期の膝関節可動域と最終獲得可動域の関係について
*阪本 良太中川 法一石山 照二
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キーワード: TKA, 可動域, 回帰式
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抄録
【目的】 この研究の目的は、術後早期の膝関節可動域と最終獲得可動域の関係を知ることで、目標可動域(伸展0°、屈曲110°から120°)獲得のための目安となり得る術後早期の可動域を調査することである。【対象】 対象は、1997年1月から2001年11月の間に当院で人工膝関節全置換術(以下TKA)を実施された患者のうち、術後1年以上経過した時点で膝関節可動域を計測できた32例40膝であった。平均年齢は71.1歳、男性10例13膝、女性22例27膝であった。疾患の内訳は、変形性膝関節症患者25例33膝、慢性関節リウマチ患者7例7膝であった。【方法】 TKA後1から5週(術後早期)の各週と、術後1年以上経過した時点(最終時)で膝関節可動域を計測した。膝関節可動域は、屈曲・伸展の他動および自動角度を計測した。解析として、術後1から5週の膝関節角度と、術後1年以上経過した時点の膝関節角度(最終獲得角度)との間で相関を調査し、回帰式を求めた。計測および術後理学療法は、同一の理学療法士により実施された。【結果および考察】  伸展については、最終獲得角度と術後早期の角度との間で相関は弱く、最終的に良好な改善を示していた。術後早期の伸展制限は、最終的な完全伸展獲得に向けてそれ程大きな問題とはならず、長期的な改善の可能性を示唆するものであった。 屈曲の最終獲得角度と術後早期の角度との間の相関は、術後3週以降で急激に強くなった(p<0.001)。特に3週時点の角度との間で最も相関が強くなっていた。また、3週時点の角度は、他動角度よりも自動角度のほうが、最終獲得角度との間で相関が強くなっており、回帰式は、最終時の他動角度との間でy=53.02+0.56x、自動角度との間でy=48.10+ 0.59xであった。その回帰式を当てはめると、術後3週時点の自動角度は、56.5%の寄与率で最終時の他動角度を、53.0%の寄与率で最終時の自動角度を決定するといえた。したがって、術後3週時点の自動角度は、最終獲得可動域を決定するための目安となり、最終的に110°以上を獲得するためには、術後3週までに100°を超える自動角度を獲得しておく必要があるといえた。 術後3週で相関が強まった理由として、術後の軟部組織の修復過程において、切離組織の再癒着が完成する時期であることが関与していると考えられた。 屈曲について、他動角度よりも自動角度の方が最終獲得角度に与える影響が大きかったことは、術後早期の自動運動でのエクササイズの重要性を示唆するものと考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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