理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP581
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成人中枢神経疾患
脳卒中片麻痺患者の立位バランス能力の経時的変化
異なる感覚条件下での検討
*前田 佑輔藤本 好萩原 良治田中 敏明
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抄録
【目的】片麻痺患者のバランス能力を評価・訓練する上で、Woollacottらが提唱している外部環境条件の違いに伴う姿勢安定性の回復過程を検討することは臨床上重要である。そこで本研究は視覚及び足底感覚情報を撹乱させた条件で、片麻痺被験者の直立位バランス能力改善状況の経時的変化を考察することを目的とした。【対象・方法】対象は当院にてリハビリテーションを実施した脳卒中片麻痺患者3名(男性1名、女性2名、平均年齢73.3±6.5歳)で、いずれも発症から2ヶ月前後であった。初回評価時には下肢Br.stageは3及び4であり、立位保持は監視下で可能であった。評価項目は、重心動揺計測値、非麻痺側下肢筋力、動作能力テストとした。重心動揺計による分析は以下の4つの条件下で実施した。1:直立位での前後クロステスト 2:ロンベルグ肢位で30秒間直立位保持(開・閉眼)、3:2の条件に加え、足底感覚撹乱条件下での直立位保持。分析項目は1では最大重心変位(cm)、2、3では実効値面積(cm2)、総軌跡長(cm)とした。非麻痺側筋力計測は携帯用筋力測定機器(MICROFET2)を用いて、下肢各筋群の最大等尺性収縮力(N)を測定した。動作能力テストはFunctional Reach Test、10m歩行にかかる時間を測定した。以上に関して、1回目の初回評価の後、1ヶ月後再評価を実施した。【結果】重心動揺計測値について初回・再評価の平均値を比較したところ、最大重心変位は約1.1倍の増加、実効値面積等の各パラメーターにおいて0.63から0.71倍の減少が認められ、またロンベルグ率は1.78から1.68となった。外乱刺激時は初回評価に比べて0.47から0.66倍の減少が認められた。筋力について股関節筋群で1.1から1.5倍、膝関節筋群で1.1から1.3倍、足関節筋群では1.0から1.3倍、母趾で1.0から1.1倍の増加が認められた。Functional Reach Testでは平均で23cmから30cmの増加が認められた。歩行時間では最大速度で21秒から12秒の向上があった。【まとめ・考察】3症例とも立位保持における重心動揺測定値の減少傾向が認められた。特に足底感覚撹乱条件下での改善が顕著であった。ロンベルグ率が減少していることからも、立位での感覚入力の変化への対応が向上したことが推測される。筋力については、股関節周囲筋群の改善が顕著であり、Woollacottらの報告にある通り、Hip strategyの回復状況がうかがえた。以上より、本研究のごとく多様な外乱条件下の設定と詳細な経時的評価を行うことにより、片麻痺患者におけるバランス能力回復状況の確認の可能性が示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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