理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP585
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成人中枢神経疾患
成人片麻痺者における歩行能力からみた身体イメージの意味的構造理解の試み
SD法による身体イメージの測定
*西澤 要
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抄録
【目的】片麻痺者が自己の身体をいかに捉えているかの理解を深めることは、身体の誘導や介助、適切なフィードバックなどを行う上で極めて重要な事である。そこで今回、片麻痺者が抱いている身体イメージを測定し歩行能力からみた全体の意味的構造を検討したのでここに報告する。【対象と方法】対象は片麻痺者33名(右片麻痺者18名、左片麻痺者15名)。高次神経機能障害、痴呆を伴わない測定の内容に理解可能な者を選出した。測定には30項目の形容詞対を選択し、SD法に従い質問紙を作成し、身体のもつイメージを7段階の評定尺度を用いて解答してもらった。分析方法は発症1ヶ月未満(以下A群)、6ヶ月未満(以下B群)、6ヶ月以上(以下C群)の3群に分類し、それぞれ歩行自立群(自立群)と歩行非自立群(非自立群)の2群に分類し、因子分析を行った。【結果】固有値1以上で因子負荷量が0.5以上を示した因子は、A群では第1因子として“不注意な-注意深い、第2因子として鈍い-鋭い、整った-混乱したの2因子を抽出した。B群では第1因子としてのんびりした-エネルギッシュな第2因子として不安定な-安定したの2因子が抽出された。C群では第1因子として不注意な-注意深い、第2因子として不安定な-安定したの2因子が抽出された。【考察】A群で非自立群、自立群において共通して鈍く混乱しているというイメージを持ち、非自立群は自立群より不注意なイメージを持っている事が示唆された。B群で非自立群は自立群よりのんびりしており、安定しているイメージを持っている事が示唆された。C群で非自立群は自立群より不安定で不注意なイメージを持っている事が示唆された。A群は発症早期であり身体の変化が大きな事から鈍く混乱しているとイメージしたのではないか、また非自立群は身体の不安定さから身体に対し不注意とイメージしたのではないかと推察される。B群の歩行非自立群は安定とイメージしているが、C群の歩行非自立群は不安定とイメージしている。歩行非自立群は移動手段として車椅子を使用する事が多いと考えられ、静的な状態での身体の安定性をイメージしたのではないかと推察される。B群、C群の歩行非自立群では同じ条件であると思われるがイメージの相違があり、生活の中での感覚運動経験により身体の不安定性をイメージしたのではないかと推察される。今回、歩行が身体イメージに反映するという事が解った。マイナスイメージは行動を制限すると述べられている。また身体イメージは身体と環境の相互作用を介して得られる感覚運動経験により形成されるといわれている。この事から身体イメージを形成する為の感覚運動経験は重要であり、それに関わる介助や誘導には十分に注意が必要であると思われる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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