理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP672
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成人中枢神経疾患
脳卒中片麻痺患者の経時的ADL変化と心理的反応との関連性について
*仲栄真 勝金澤 寿久与儀 哲弘小橋川 敦貞松 徹當山 奈津紀仲盛 真史下地 尚人池村 久美子今村 義典末永 英文嶋田 智明
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キーワード: ADL, Self - Esteem, エゴグラム
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抄録
【はじめに】障害受容は障害者の心理的適応過程を理解する上で重要である。しかしながら障害受容とリハビリ過程の関連性については明確にされていない、そこで今回我々は社会適応性の視点から対人交流の特性が障害受容の要因と言われる自尊心(Self‐Esteem以下SEと略す)及びADL変化率との関連性について検討し、若干の知見が得られたので報告する。【対象】発症6ヶ月以内の脳卒中片麻痺患者15名を対象とした。また理解力良好で高次脳障害を有さない者とした。平均年齢は67.8±13.2歳、内訳は脳出血8名脳梗塞7名、右片麻痺7名左片麻痺8名、発症から入院までの平均期間は43±39日であった。【方法】交流分析的評価としてはエゴグラムを採用した。障害受容については、その一要因と言われるSEを用いた。片麻痺機能評価へはSIAS,ADL評価としてはFIMを用い3ヶ月間の経時変化率を抽出した。比較項目は1:FIM‐SE‐SIAS得点を相互比較,2:発症から入院期間、障害、性別、年齢を平均値にて分類しFIM,SE,SIASの変化率を比較、3:FIM,SE,SIASの変化率を比較、4:エゴグラムの各要素とFIM,SE,SIAS得点を比較、5:エゴグラム波形で変化群と不変群のFIM,SE,SIAS変化率を比較した。統計処理はマン・ホイットニー検定、スピアマンの順位相関を用いた。【結果】1FIM‐SE‐SIAS得点間には有意差は認められなかった。2要因分類別では障害別でFIM変化率にて左片麻痺で有意に高値を示した。3FIMとSE得点変化率へ相関関係が認められた。4エゴグラムの要素ではSEとAC得点で相関関係を認めた。5エゴグラム波形では変化群に比較し不変群で有意にFIM変化率が高値を示した。【考察】今回の結果よりFIM,SE,SIAS,エゴグラム相互の比較においてFIM変化率とSE変化率間で正の相関関係があり、障害受容の一要因と言われるSEはFIM変化率についても影響がある事が示唆された。また交流分析を主としたエゴグラムについては2点の興味ある知見が得られた。1点目はエゴグラム要素のAC(順応性)とSE間に負の相関が認められ両者、相互関係の評価における焦点となり得る可能性が伺えた。2点目はエゴグラム波形の特性として不変群がFIM上昇率で高値を示した事である。エゴグラムは環境や状況で変化すると言われるが、環境や状況にうまく順応して行けるタイプが波形不変群に一致するのではないかと考えられる。またエゴグラム波形を経時的に評価することで対人交流はもとより人間関係が中心となる社会適応性の数量化や詳細な分析が可能性として示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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