理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP673
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成人中枢神経疾患
リハビリ病棟における前てすり型車椅子トイレについて
*西尾 里紗大矢 美奈子飯尾 俊一芳川 晃久高野 さやか望月 里枝宮川 邦成米山 厚生岩下 茂幸
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抄録
【はじめに】昨年のリハビリ病棟のリニューアルに伴い、入院患者のADL自立度を向上する目的で前手すり型の車椅子トイレ(以下前手すり型)を設置した。今回、病棟の脳卒中患者に前手すり型と一般身障用車椅子トイレ(以下一般身障用)を試してもらい、比較検討したので報告する。 【前手すり型車椅子トイレ】便座の正面の壁に横手すりが設置され、それを掴んで横方向への移乗により、便座・車椅子間のトランスファーを行うものである。 【対象と方法】H14年11月時点でのリハビリ病棟入院中の患者で、車椅子操作が自立し、洋式トイレを利用できる12名(年齢35から82歳、平均年齢66.1歳、男性11名女性1名、右片麻痺7名・左片麻痺5名)に、前手すり型と一般身障用を試してもらい、その違いについて感想を聴取し、使用時の動作と時間の違いを比較した。 【結果】「どちらが使いやすいか」の問いに対し、前手すり型が11名。理由は、「便器への接近が楽」6名、「手すりを持ち替えないので安心」7名、「移乗時に横へ少し動けば良いだけで怖くない」9名、「立ち上がるのに力が入りやすい」7名などであった。また、一般身障用が使いにくい理由は、「立ち上がるのに力が入りにくく大変」5名、「移乗時に足の踏み換えが多く、手すりの持ち替えでふらつき怖い」7名などであった。一般身障用が使いやすいと答えた1名は「縦手すりの方が力を入れやすい」という理由であった。前手すり型では介助を要す者はいなかったが、一般身障用では5名が介助を要した。介助は、立ち上がり時や手すりの持ち替え・足の踏み換え時などにふらつきがあった為必要となった。手すりを掴んでから便座もしくは車椅子に移るまでの平均所要時間は、前手すり型9.4秒、一般身障用15.4秒であった。 【考察】今回の調査より、前手すり型が使いやすいという意見が多数を占めていた。一般身障用では要介助となる場合があり、移乗時に立位での180°近くの体幹回旋が必要であるなど導線が長く、より高いバランス、非麻痺側の能力が要求される。しかし前手すり型では_丸1_立ち上がりやすい_丸2_手すりの持ち替えがない_丸3_横移動のみで体幹回旋が少なくてすむなど、一般身障用よりも能力が低くても行える。また、移乗時間が短いことからも移乗しやすく、失禁への不安解消につながるのではと考える。以上より、前手すり型は、一般身障用よりも容易に使用可能であり、より早期に車椅子トイレの自立が可能になると考える。 今後、障害者の集まるリハビリ病棟では、一般身障用にこだわらず使いやすいトイレを検討すべきである。その1つとして前手すり型はそれにあたいするものであると考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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