理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP674
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成人中枢神経疾患
脳卒中片麻痺患者の移乗動作(車椅子-ベッド間)における物的介助の有無が動作所要時間におよぼす影響
*井貫 博詞日高 正巳荒木 保時本 清己郷田 英機嶋田 智明
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抄録
【緒言】我々は,第36回日本理学療法学術大会(2001)において,脳卒中片麻痺患者における移乗動作所要時間について報告した.今回,移乗動作における物的介助の有無が動作所要時間にどのような影響をおよぼすかについて検討したので報告する.【対象と方法】1998年6月から2002年9月間に当センターに入院し理学療法を施行した初回発作脳卒中片麻痺患者のうち,機能的自立度評価法により病室での移乗動作(車椅子-ベッド間)が完全自立の者26名(以下,完全自立群)および修正自立であっても物的介助を必要とせずに監視下にて移乗動作が可能であった者17名(以下,修正自立群)を対象とした.なお,理解力低下および両側性運動麻痺を伴う者は対象者から除外した.また,これらの対象者には十分な同意と協力を得て実施した.内訳は,男性22名,女性21名,平均年齢65.1±10.0歳,脳梗塞34名,脳内出血9名,右片麻痺26名,左片麻痺17名,Bruunstrom's Motor Recovery Stage(以下,BRS)において上肢BRS II 2名,III 4名,IV 8名,V 11名,VI 18名,下肢BRS III 1名,IV 6名,V 17名,VI 19名,発症から理学療法開始まで6.6±3.8日,発症から測定日まで34.0±16.5日であった. 移乗動作(ベッドから車椅子,車椅子からベッド)における撮影環境の条件設定として標準型車椅子およびプラットホームベッドを使用した.動作所要時間の計測は,完全自立群,修正自立群ともに物的介助がある場合とない場合について各3回施行しデジタルビデオカメラに録画した.各動作の所要時間は動作開始から終了までとし3回の平均時間とした.なお,物的介助としては車椅子アームレスト,プラットホームベッド端の保持とした。また、各動作所要時間の測定は,デジタル化された動画をコンピューターに取り込み動画編集ソフトにおいて1フレーム(1/30秒)単位にて計測し秒に換算した.統計学的分析として各群の物的介助の有無における動作所要時間について,対応のあるt検定にて検討した.【結果と考察】ベッドから車椅子において、修正自立群では物的介助あり7.7±1.8秒,物的介助なし9.1±2.7秒と有意差(p<0.01)を認めた.一方、完全自立群については物的介助あり4.4±0.8秒,物的介助なし4.5±0.9秒,車椅子からベッドにおいて、修正自立群の物的介助あり8.4±2.0秒,物的介助なし9.3±3.1秒(p=0.07)で,完全自立群の物的介助あり4.6±0.8秒,物的介助なし4.7±0.9秒と有意差は認められなかった.移乗動作における物的介助は,支持基底面積の拡大を図り動作の安定性をもたらすとされるが、加えて修正自立群においては、ベッドから車椅子では,物的介助が動作所要時間の短縮を図っているものと考えられ、車椅子からベッドへもその傾向が窺えた.完全自立群においては,双方の移乗動作ともに動作所要時間の差が認められなかったことから,運動機能が良好であれば特に物的介助の有無にかかわらず動作所要時間は一定しているものと考えられた.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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