理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: EP767
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成人中枢神経疾患
片麻痺患者における足底の触知覚に対する評価の検討
*末吉 恒一郎高良 秀
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抄録
【はじめに】脳卒中片麻痺患者では,一般的な感覚検査は良好であっても,足底感覚は立位や歩行場面になるとその結果より悪い状態を示す事を多々経験する.また,足底面は支持面を形成し,接地面に対して運動-感覚知覚の過程で強い関わりをもつ器官と想像する.そこで,その足底面の感覚を評価するために触知覚(立体覚,材質覚等)を具体的に捉える必要があると考えた.今回,上記の症状を示す片麻痺患者一症例に対し,足底面へ一般的感覚検査と動的二点識別覚検査を行い,若干の考察を加え報告する.【症例紹介】72歳 男性 診断名:左皮質下出血(左被殻から側頭葉から頭頂葉)障害名:右片麻痺,言語障害 発症日:平成14年4月26日(5月1日,血腫除去術施行)【臨床像】歩行はサイドケイン使用で監視レベル.その時症例は「右足がどういう状態か分からない」と訴えた.麻痺側立脚期では内反尖足が出現し,足関節や足部の運動性が乏しい.また支持時間は短く,非麻痺側下肢をすぐ接地させる.下肢Brunntrom stageはIII,関節可動域は他動的に股関節屈曲,内旋が疼痛を伴いながらそれぞれ110°,15°で足関節背屈15°であった.また足背と足底の皮膚は非麻痺側と比し硬さが触知された.【感覚検査の方法】背臥位にて麻痺側足底面の触覚・痛覚・関節覚・振動覚・動的二点識別(20mmで実施した)の検査を施行した.触知覚の評価では,人工芝,じゅうたん,床の3種類の材質を,麻痺側足底面に設置し,非麻痺側下肢をステップさせ,その中で材質覚の識別を求めた.【結果】静的触覚:5/5 良好 痛覚:5/5 関節覚:5/5 良好  振動覚:0/5 鈍麻 動的二点識別:0/5 鈍麻 触知覚:0/5 鈍麻【考察】結果から,触覚受容器のメルケル触盤と関節覚受容器のパチニ小体とルフィニ終末は発火していると考える.また振動覚と動的二点識別を受容するパチニー小体とマイスナー小体は発火が不十分と考える.加えて,触知覚が鈍麻であったことから,今回の検査で触知覚と動的二点識別との関連性が示唆された.パチニー小体とマイスナー小体は動的触覚に関わる受容器とされており,歩行時足底面で接触するものを知覚する事に関与すると考える.また,動的触覚の発火が不十分であった要因は,足底の皮膚の粘弾性や足部,足関節の運動性低下により,足底面で接触するものを知覚しにくい状態にあったと推察する.従って,それを活性させるために,足部,足関節の可動性および足底面皮膚の粘弾性など非神経学的要素の治療が必要と考える.触知覚の評価を行うことで,感覚障害をより具体的に捉えられるとともに,感覚に対する治療を具体的に行えると考える.しかし今回は一症例のみの研究であったことから,今後,症例数を重ねて,研究を進めるとともに,治療を通した中で動的触覚の評価を用いていきたい.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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