理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: FO423
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神経・筋疾患
在宅環境に対応する眼球運動入力意思伝達装置の開発
*宮坂 智哉石川 朗乾 公美浦島 貢
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抄録
【はじめに】ALS者等を対象とした眼球運動入力型や視線入力型意思伝達装置は、一般に高価で操作が複雑であり、在宅への導入は困難である。このことから現実の介護現場では、対象者から介護者が離れてしまうと、眼球運動に随意性があっても対象者主導のコミュニケーションができず、total locked in の方と同様の生活環境を強いられる。本研究は、眼球運動をコミュニケーションの代償とする方の在宅生活の環境改善を目的とした。その手段として、安価で簡便ながら、使用者の肢位変化や居室照度変化に対応する眼球運動入力意思伝達装置を開発し、さらに臨床評価を実施することにした。最初の段階として、2チャンネル出力型の眼球運動入力意思伝達装置を試作した。【装置の特徴】1.眼球を一定時間外,内転するだけで、(はい/いいえ)など2種類の意思伝達信号を出力することに機能を限定した。2.重力や介護による頭頚部の他動運動があっても装置の動作を確保した。3.遠隔出力端子を装備し、使用者の意思信号を介護者が任意の箇所で確認できるようにした。4.眼球運動の検出方法や、制御回路の工夫により、誤動作や誤作動の低減を図った。5.パソコンを制御中心にせず装置単体での動作を可能とした。これにより安定した動作を確保し、パソコンに不慣れな中高齢者の使用に配慮した。6.約6万円の部品コストとし、上市している既存製品価格の約1/8から1/50のコストで製作可能とした。【装置構成】超小型CMOSカメラを配した入力部と、意思伝達信号を出力する本体からなる 。入力部にはCPAP(睡眠時無呼吸症候群)マスク用ヘッドギアと、眼鏡フレームの2種を用いた。本体はA4モバイルケースに回路を組み込んだ。【動作原理】入力部を装着して眼球運動を撮影し、モニタに写った眼球動画像を画面上の3個の光センサで検出する。外,内転で左右配置のセンサが2種類の意思伝達信号を、上転で下配置のセンサが制御離脱信号を発する。意思伝達信号は光、音、遠隔出力用接点出力に変換される。【評価試験,結果】健常者により、座位で頭頚部角度及び室内照度変化による動作試験を実施した。肢位変化では、屈伸,回旋方向は2種類の入力部ともほぼフルレンジで動作したが、ヘッドギア型入力部は側屈方向の範囲が0-15°(左)、0-30°(右)となった。また照度変化では200-5000(Lx)で動作した。【考 察】ヘッドギア型入力部の側屈方向の動作範囲制限は、支持アームの固定不足が原因だった。また動作に必要な照度は、最低でも200(Lx)、つまり夜間に居間で過ごすのに必要とされる明るさだった。今後入力部のカメラ固定方法について、また実際の介護場面で想定しうる、より暗い周囲環境での動作を可能とする改善を実施し、装置の臨床評価を行う予定である。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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