理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: GO524
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小児疾患
発達障害児に対する水中運動療法
第二報 脳性まひ緊張性アテトーゼ
*直井 寿徳増渕 順恵鈴木 ほがら岡田 美紀藤村 和也
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抄録
【はじめに】脳性まひのアテトーゼ型は運動をコントロールすることが困難で、陸上では活動が制限されることが少なくない。特に緊張性アテトーゼでは精神面や環境の影響で筋緊張が亢進し動作遂行に多大な努力が必要になる。今回、水中運動療法を開始し約1年で独泳が可能とった症例を経験したので報告する。【症例紹介】23才、男性。全身の筋緊張は亢進状態。常時四肢は緊張し、ATNR様の肢位をとる。多大な努力を必要としながら床上で起き上がり割り坐になる。端座位は姿勢を整えてあげれば可能。通常は電動車椅子を使用している。小学生時、水中運動療法を行い水慣れまでのプログラムは体験している。【指導内容、結果】平成13年6月より泳ぎを目的とした指導を開始した。初回から4回目の入水では水を怖がるだけではなく、リラックスしようとする意識が、更に緊張を高めてしまっていた。水の流れを感じるように左右へのスウィングを行なうことと顔つけや潜りにて徐々に自分で力を抜くことを覚えてきた。しかし後頭部を支えようとするとそこを支点にして緊張してきた。5回目ではヌードルを頸部に使用すると背浮きが少しできた。しかしキックをしようとすると全身の緊張が高まり動きが出なかった。6回目以降は力を抜くことを目的に速度と方向を制限せずにキックをさせた。最初は体幹を抱えた介助が必要であったが徐々に頭部の介助で可能となった。その後、最大吸気を行なった状態で背浮きとなり、両肩甲骨間を介助されるのみで安定したキックが可能となった。7回目からはゴーグルを使用した。11回目頃より介助なしで背泳ぎが可能となった。ただし、下肢の左右差により左へと回ってしまった。【考察】独泳の獲得には「力を抜く」こと、「浮く」こと、そして「推進を作る」ことが相互に関わってくる。「力を抜く」ために他動的に水の流れを感じさせることや潜りなどを通して水に慣れさせることを行なった。また制限しないキックをさせることでその後の脱力感を経験させた。「浮く」ことは力を抜いた状態でバランスをとり続けることである。そのために両肩甲骨間へ浮心と重心を自力で近づけて行けるように指導した。「推進を作る」は本来持っている動きを充分に引き出し、且つその動きを効率よく使えるように誘導していくことである。そのためには動きを制限したり、固定する点を作らないようにすることが有効であった。【まとめ】独泳までの過程を3段階に分けて考えた。本来持っている動きを効率よく使い泳ぎにつなげた。今後は更に効率よく身体を動かしゴールへ向かって泳げるよう指導を継続したい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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