理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: JP347
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脊髄疾患
ハイブリッドFESにおける膝関節の影響
*畠山 和利島田 洋一湊 貴至松永 俊樹佐藤 峰善千田 聡明
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抄録
【はじめに】 内側股継手付長下肢装具(medially linked Knee-Ankle-Foot Orthoses: MLKAFO) は、内側部の継手が左右の長下肢装具を強固に連結しているため、側方への安定性が高く、完全対麻痺者の立位、歩行が容易となる。歩行時に膝関節はMLKAFOにより伸展位で固定されるため、歩行周期全体で正常歩行と全く異なるパターンを呈し、立位バランス保持や体重心移動時に使用する上肢に過度な疲労や疼痛が発生する。そこでわれわれは、FESを使用し、MLKAFOの膝関節の固定解除を試みた。本研究の目的は、FES使用時に膝関節の固定、非固定が歩行に与える影響を検討することである。【方法】 対象は、完全対麻痺の男性で、障害高位はT8である。Walkaboutを使用したMLKAFOとFESで歩行再建を行い8年経過している。使用したFES刺激装置はAkita Stimulator IIIで、被験者がハンドスイッチ押すことにより刺激をコントロールできる。刺激パターンはOnにより大腿神経と傍脊柱筋が収縮し、Offにより傍脊柱筋のみが収縮する。使用したMLKAFOは、膝関節を固定した装具(膝固定)と膝関節の固定を解除した装具(膝フリー)である。L-walkerを用いて5mの歩行路を歩行させ、体幹屈曲角度と遊脚期の時間を3次元動作解析装置Peakを使用して測定した。【結果】 体幹前傾角度は膝フリーで20.4±2.3°、膝固定で27.2±2.7°であり有意差があった(p<0.05)。遊脚時間は膝フリーで0.32±0.04秒、膝固定で0.45±0.07秒で有意差があった(p<0.05)。【考察】 膝固定のMLKAFOは、立位保持や歩行時の膝関節に安定性をもたらす。しかし立脚期では、前方下肢への体重移動時に体重心の上下移動が増加するため、過度な体幹の前傾と上肢のプッシュアップが必要となる。また遊脚期では、クリアランス獲得を目的とした体重心の側方移動や骨盤回旋が必要となる。そのため上肢は、過度な筋収縮や体重負荷が要求され、筋疲労や手関節部の疼痛が発生することがある。今回試みた膝フリーMLKAFOは、1)両脚支持期での体重心前方移動が容易となる、2)遊脚肢では、ハンドスイッチのコントロールにより膝関節の伸展を解除させることが出来るため、クリアランスの獲得が容易に可能となる。さらに膝関節が自由に可動するため、車椅子からの起立、着席がスムーズとなる。MLKAFOを使用したハイブリットFESは、膝関節の固定解除が歩行に有用である。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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