理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: MO843
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義肢・装具
訓練の違いによる義足歩行健側の下肢筋活動パターン
*吉村 洋輔伊勢 眞樹
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抄録
【はじめに】理学療法の領域に限らず下肢切断者の歩行時の床反力,体幹や患側下肢の筋活動についての報告は多くなされているが,健側下肢筋活動についての報告は少ない.また,下肢切断者の運動学習の過程や義足装着における効率的な歩行訓練プログラムについての研究もない.そこで今回,健常者に大腿模擬義足を装着させ,非装着時の筋活動電位を計測し,1)切断者との筋活動の比較,2)歩行訓練プログラムによる筋活動の差を検討した.1)により,切断者の健側下肢筋活動パターンの効率的な収縮を確認.2)により歩行訓練プログラムの差による筋活動パターンの差を比較し,より効率的な訓練方法の開発を目的とした.【対象】対象は右大腿切断者(27歳男性,体重67kg,断端長26cm)1名,センター内歩行訓練群は下肢・体幹に整形外科的・神経学的疾患の既往のない健常男性2名(21.5歳,69.5kg),応用歩行訓練群も健常男性2名(22.5歳,67.0kg)である.【方法】筋活動電位の計測は表面筋電計NORAXON社製Myo Researchを使用し,歩行時の中殿筋,大腿直筋,外側広筋,大内転筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋より表面電極にて筋電波形の導出を行った.右大腿切断者(義足者)と,一側(右)大腿模擬義足を装着した模擬義足者とも通常歩行にて計測した.筋電波形の計測は100%MVCと2週間の訓練前後の歩行時の計3回行った.訓練は1日20分,週3回,2週間,以下の2通りのプログラムを実施した.1.センター歩行群の訓練プログラムは,1)平行棒内でのバランス訓練(片脚立位保持訓練を含む)5分,2)平行棒内での歩行訓練5分,3)松葉杖での歩行訓練5分,4)センター内歩行訓練(平地な床の上)5分である.2.応用歩行群の訓練プログラムは,1)平行棒外(上肢支持なし)でのバランス訓練5分,2)学内にある階段を用いて屋内階段昇降訓練5分,3)坂道歩行を中心に屋外歩行訓練10分である.2週間の訓練後,両群とも筋電図を計測し,それを切断者のデータと比較し、2つの訓練群が訓練前後の歩行時に100%MVCに対してどの程度の筋出力であったか検討した.なお統計学的検定には対応のあるt検定を用い危険率5%にて有意とした(P<0.05).【結果及び考察】表面筋電図の波形パターンから,義足者は模擬義足者に比べ,健側下肢の筋活動は小さく,周期的な収縮パターンを認めた.センター歩行群,応用歩行群の2週間の訓練前後の筋放電の比較では多くの筋で筋活動が減少する傾向にあり,特に応用歩行群では中殿筋,外側広筋,腓腹筋が,それぞれ12.4%から6.4%,17.2%から6.1%,51.5%から37.6%に減少した.模擬義足者の2週間の訓練後の各筋の筋電波形と振幅の平均値から,ほとんどの筋でその活動量は減少しており,その差は応用歩行群で大きい傾向にあった.この事から,応用歩行群の方がセンター内歩行群に比べ,より義足への適応が進んだものと考える.今後はさらに症例数を増やし,各筋の活動周期や床反力、関節モーメントをも求め,比較検討する必要があり、現在その作業を進めている.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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