理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: MO844
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義肢・装具
変形性膝関節症に対する膝装具の開発
生理的膝関節動作誘導機構
*山崎 準平谷本 一之本窪 義親岡田 武志加藤 雅紀谷口 佳文田窪 英二
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抄録
【はじめに】変形性膝関節症(以下膝OA)の治療法は、運動療法や薬物療法等の保存療法と手術療法に大別され、中でも装具療法は保存療法の一つである。従来の装具療法ではgrade1から3(荷重X線所見による分類)の症例に対しては足底板や支柱付サポーターなどが多く用いられ、grade4から5の症例に対しては両側支柱付サポーターやポリプロピレンなどを使った硬性膝装具が用いられてきた。 しかし、重症例では十分な除痛が得られない為、継続した装具装着をしてもらえなかった。この程、より正常な生理的膝関節運動に誘導できる機能的膝継手をもつ装具を開発し、臨床症例にて荷重痛の除去に有効な結果が得られたので本装具の紹介も含め、若干の考察を加え報告する。【対象】荷重痛や歩行痛のある内側型膝OA患者で、本来は手術適応だが時期尚早な者、高度の合併症により手術が困難な者、手術をどうしても希望されない者などが対象である。【本装具の構造】従来の膝装具は、関節周囲の圧迫や3点支持の原理に基づき側方・前方動揺性の抑制を図り、内反変形の矯正力が常時作用する構造が一般的であり、単軸や多軸継手による二次元動作構造であった。本装具は固定軸ではなく回動移動軸・軸移動溝さらにギヤとラックが相対する方向に装着されている。装具の可動域は7から130度、重量は約450gである。下腿カフ部はrigid構造、大腿カフ部はflexible構造である。  本装具は屈曲(装着)時には矯正力は生じず、膝関節の伸展に伴い外側軸は短縮し、内側軸は伸長され、内側関節裂隙部を除圧しつつ外転(外反)方向に誘導し、同期に下腿に対し大腿部が内旋するという三次元(3D)動作を呈する構造である。【結果と考察】疼痛改善満足度に関しては装着時・1ヵ月後にほとんど疼痛無しの者が71.2%、わずかに疼痛ありの者が26.9%であった。なお2・3・6ヶ月後と装着期間の経過と共に満足度が増加する傾向にあった。本膝装具は、立ち上がり、立位時、歩行時、階段昇降時の荷重・抜重時の膝関節痛を除去できる点が最大の特長である。本装具は動的装具であり、膝関節の伸展に伴い下腿部の外反・外旋(大腿部の内旋)・除圧作用が生じ、膝OAに特徴的な内側関節裂隙部の過度の圧迫と逆screw home movementを改善する方向に誘導できる装具ではないかと考える。さらに本装具のカフ・固定バンドは、単なる固定支持パーツではなく膝屈伸動作に伴い大腿四頭筋・大腿二頭筋・大腿筋膜張筋・大殿筋・膝窩筋などの筋収縮が効率よく促通され、全身のアライメント・歩容の改善さらにADLの拡大につながっていくものと考えられる。本装具の長期使用により脛骨内外顆部での骨密度の変化、関節水症の増減、装具使用による筋萎縮率、本装具使用によるアライメントの変化、膝OA進行抑制効果などについて引き続き検証する必要性があると思われる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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