抄録
【はじめに】車椅子及び座位保持装置を中心とするシーティングシステムの適合評価は、療法士の臨床経験や商品知識に左右されやすい傾向にある。そのため個人に最適なシステムを供給することは容易ではない。今回我々は、より多くの療法士がシーティングシステムの適合評価を通して支援サービスへ参画でき、その支援記録の簡便化を図ることを目的として、コンピューターによる自動測定・評価システムを用いた方法を開発した。そこで今回は、本システムの概要と使用方法を主として紹介し、座位保持装置の必要性を認めた症例に対してモニタリング評価を実施できたので報告する。【車椅子・シーティング適正処方システムの概要】本適性処方システムは、1.画像による自動身体寸法測定、2.観察・選択記録方式による身体部位別姿勢保持評価、3.姿勢保持形態別分類、4.ADL別使用条件調査、5.生活環境調査の5項目で構成している。以上の5項目を使用し測定評価することで、まず大まかな車椅子・シーティングシステムの仕様を決定することができる。さらにその結果にて本システム用に蓄積された情報データベースから検索を行い各仕様に応じた車椅子・シーティングシステムの選定がなされる。また利用者に使用上の留意点などの情報提供を行う目的で、実際に利用している方からの情報提供を主とした「生活提案システム」も含めている。加えて、在宅の住環境や職場環境などの諸条件を考慮した用具類の仕様を決定できるシステムとして、ADL支援ソフト(住環境の見取り図を作成するソフト:ベルソフトウェア株式会社製)との情報共有も今後の構想の予定に入っている。【対象および方法】現在まで5症例に対して本システムを導入し、車椅子や座位保持装置を供給した。内訳は、脊髄小脳変性症59歳女性、筋萎縮性側索硬化症64歳女性、ギランバレー症候群40歳男性、脳幹出血(四肢麻痺)55歳男性、脳性麻痺(痙直型四肢麻痺)39歳男性であった。【結果】全症例において、本人の主観性と療法士の客観性の両面より満足が得られている。【考察】一定範囲の適正なシーティングシステムを適合させる目的で開発したシステムを紹介し、5症例に対して使用した。その結果、症例数は少ないものの有用性は認められるという印象を持っている。今後は使用頻度を経験的に積み重ねていく中でデータを蓄積し、より簡便に機能的な取り扱いができるようシステム構成を向上させたいと考えている。それに並行してコンピューター関連用品の技術的進歩に応じた新たな適正処方システムの開発も検討する意向である。