理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: MP751
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義肢・装具
脳卒中片麻痺症例に対する正常歩行獲得に向けてのトレーニング方法と装具選択(Dream Plastic AFO)の一考察
*赤松 学谷本 健佐藤 三矢宇都宮 剛森中 茂
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抄録
[目的]Dream Plastic AFO(オルソ社製)の特長は立脚後期の足関節背屈角度を底屈制動により保持し直線的な振り出しと足関節背屈位での踵接地を得るところにある。しかし踵接地期から立脚中期において、殿筋群の収縮による骨盤の前方移動が不十分な場合、立脚中期での反張膝や足先離地期での足尖の躓きなどの現象が出現することがある。今回、本装具を効果的に使用するためのトレーニング方法について検討した。[対象]脳卒中片麻痺症例2名について検討した。症例1は78歳の男性で、脳梗塞による左片麻痺であり発症後1年が経過している。Br stageは上肢III、下肢IVで足先離地期に左側足尖の躓きがみられた。症例2は66歳の女性で、脳出血による左片麻痺であり発症後10年が経過している。Br stageは上肢III、下肢Vで立脚中期に左側反張膝がみられた。深部感覚は両者ともに良好で、運動理解能力は症例1の方が良好であった。[方法]トレーニング方法として1.ゴムチューブ抵抗による麻痺側骨盤帯の前方移動(10回×3から5セット)2.麻痺側による段差昇降(10回×3から5セット、高さ10から30cm)3.アシックス製レッグプレス(10回×3から5セット)4.SAKAI製自転車エルゴメーター(レベル1から3、10分間)5.10m歩行(本装具・靴を装着、一本杖使用し、躓き、反張膝など歩行上問題となる現象に注意させ、最も安定した歩行スピードでの歩行5セット)を行った。トレーニング方法理解後は自主トレーニングとし、達成内容に応じて負荷およびセット数を増加させた。なおトレーニング回数は週3から4回で期間は4週間とした。[結果]症例1は全トレーニングを約20日で完全に達成できるようになり、麻痺側立脚時間の延長と立脚後期での足関節背屈角度が増大し、足尖の躓きが改善した。症例2は4週間経過時にトレーニング1.のみが不完全であり、歩容はトレーニング前と比較し向上したものの麻痺側の反張膝傾向は残存していた。良好な歩容をイメージさせての10m歩行時間はトレーニング開始前後で、症例1が18.0秒から14.8秒、症例2が17.5秒から13.1秒にそれぞれ短縮した。殿筋群周辺の筋活動量も徒手抵抗による評価で増大していたが、症例1の方が著明に向上していた。[考察]症例1は各トレーニング方法に対しての運動理解が良好であったため達成期間が比較的短く、麻痺側殿筋群周辺の筋活動が増大することにより踵接地期から立脚中期の骨盤帯の前方移動が可能となり、荷重時間が延長し、立脚後期での足関節背屈角度を確保できるようになり、躓きが改善されたと考える。また歩容が改善されていくことで除々に歩行スピードも速くなったと考える。症例2はBr stageなどの面で症例1よりも身体機能は良好であったが運動理解が不良であったため症例1のような効果がみられなかったと考える。このように立脚初期から中期の筋活動および歩容、運動理解能力などについても考慮して今後、各症例に対処していきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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