理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NO101
会議情報

測定・評価
脳卒中片麻痺患者における、リーチ動作と歩行能力の関連 第2報
Functional Reach Testとの比較
*久保田 健太福井 瑞恵坂口 友康伊藤 俊一隈元 庸夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】 脳卒中片麻痺患者(以下、CVA患者)における動的立位バランス評価として、最近functional reach test(以下、FRT)が有用であるという報告が散見される。しかし、FRTは、左右の動的バランス能力評価が乏しく、患側への重心移動能力を考慮しなければならないという報告も見られる。 そこで演者らは、第37回本学術大会において、簡便な動的立位バランス評価として前後開脚肢位リーチ動作評価の再現性を確認し、さらに歩行能力との関連性を検討した。しかし、FRTとの比較、重心動揺計による詳細な検討が今後の課題として残された。本研究の目的は、CVA患者に対し、前後開脚肢位リーチ動作評価(以下、患側前型リーチ評価)での重心移動能力と歩行能力、FRTでの重心移動能力と歩行能力を重心動揺計を用いて再検討することである。【対象と方法】 対象は、失調症などのバランス障害を有さないCVA患者29名(男性21名、女性8名、平均年齢64.2±10.9歳)とした。CVA患者のBrunnstrom Stageは、VI6名、V6名、IV13名、III4名であり、平均罹患期間は30.9±23.9ヶ月であった。計測は、アニマ社重心動揺計G-620を用い、患側前型リーチ評価とFRTを各々5回施行し、重心動揺データ(以下、重心データ)として、総軌跡長、単位面積軌跡長、矩形面積、外周面積、荷重量を求めた。また、歩行能力として、FIMの歩行項目(以下、歩行FIM)、10m歩行時間(以下、10m-T)、最大努力下10m歩行時間(以下、Fast 10m-T)を全対象者から測定し求めた。歩行能力と患側前型リーチ評価・FRT各々の重心データの関連を5%有意水準にて、Pearson相関係数を用いて検討した。【結果と考察】患側前型リーチ評価の重心データと歩行能力の検討では、矩形面積と歩行FIM間がr=0.61と最も高く、患側荷重量・外周面積と歩行FIM間においても、r=0.53以上で相関が認められた。また、他の重心データと10m-T・Fast 10m-T間においても、r=-0.40以下の負の相関を認めた。しかし、FRTの重心データと歩行能力の検討では、単位面積軌跡長と歩行FIM間にr=-0.45、単位面積軌跡長とFast 10m-T間にr=0.41と低い相関が認められたが、その他の項目では相関が認められなく、歩行能力との関連性は皆無であった。以上の結果より、重心移動域を示すと考えられる矩形面積・外周面積、患側への荷重量において歩行能力との相関が認められたことからも、演者らが規定した患側前型リーチ評価は、FRTと比較して患側への重心移動能力の評価も可能であり、歩行能力との関連性もあることから、動的バランス能の評価法として有用であると考えられた。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top