抄録
【目的】 Closed kinetic chain (CKC)はOpen kinetic chain(OKC)に比べ筋力増強効果が得られやすくACLや膝蓋大腿関節への負担が少ないとされ、実際の臨床でも選択されることの多い運動形態である。我々は、CKCの代表的な動作であるスクワットを取り上げ、しゃがみ姿勢から伸び上がる姿勢となる際に発揮される筋力をスクワット力と定義し、分析を進めている。そして、スクワット力の簡便な測定方法を背筋力計を応用して考案し、その測定方法で発揮された筋力や性差を検討した結果、妥当な測定値であると解釈し、第21回関東甲信越ブロック理学療法士学会で報告した。そこで、本研究では同測定方法のスクワット力の再現性について検討した。【対象および方法】 対象は健常成人18名(男性8名、女性10名)で特に整形外科的疾患のない者とした。平均年齢22.0±2.3歳、身長165.6±9.9cm、体重57.7±9.9kgである。測定項目は膝関節屈曲60度におけるスクワット力である。スクワット力の測定に際し、被験者は両下肢を内外旋中間位で肩幅に開き、改良した背筋力計台上に立位保持させた。体幹は前後屈中間位とし、両上肢は腰部後方で組むようにした。膝関節屈曲角度を60度に設定した後、両肩と背筋力計とをベルトにて固定し、約3秒間、最大努力でのスクワット力を1日2回、5日間で合計10回測定した。統計学的検討は各日毎の測定値についてICCを求め、その信頼性について検討した。【結果および考察】 1日目から5日目まで順に、ICC=0.844、0.952、0.937、0.953、0.964で2日目以降は0.9以上となった。このことから、2日目以降の測定では1回目と2回目において、ベルトと背筋力計との固定位置やベルトの長さなど測定時の器具の設定のばらつきが減少したと考えられる。また被験者自身が伸び上がるという動作において、設定された肢位でより力を発揮出来るようになったことやその動作が被験者内で定着していったことが推測され、これらの要因が再現性を高めたと解釈できる。