理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP377
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測定・評価
痛みと心理的因子(不安・抑うつ)の関係
*藤原 求美種池 英次手塚 康貴中村 幹夫橋本 務(MD)
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キーワード: 痛み, 不安, 抑うつ
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抄録
【目的】 現在、痛みは、その発生機序から、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、精神心因性疼痛に分類されている。このように、痛みの発生には、侵害受容刺激だけでなく、心理的要因も関係することが理解されるようになった。特に、慢性疼痛に影響するものとして心理的因子が重要視されているが、実際に、その関係を扱った臨床研究は少ないように思われる。そこで、今回、我々は、痛みと心理的因子の関係について検討したので以下に報告する。【対象】 痛みの訴えがあった当院入院または外来患者12名(男性3名、女性9名、平均年齢62歳)を対象とした。疾患は、腰椎椎間板ヘルニアや肩関節周囲炎等の有痛性疾患で、3か月以上持続している慢性疼痛とした。【方法】 各患者の痛みと心理的因子の関係を評価した。痛みの評価は、visual analogue scale(以下VAS)を用いて行った。心理的因子として、不安と抑うつの状態を評価した。評価スケールは、日本語版 hospital anxiety and depression scale(以下HADS)を使用して行った。さらに、不安に陥りやすい性格について検討を加えるため、日本語版 state - trate anxiety inventory (以下STAI)の特性不安要素も実施した。検討項目は、VASとHADS不安要素(以下不安要素)、HADS抑うつ要素(以下抑うつ要素)、STAIとし、それぞれの相関関係をスピアマンの順位相関を用いて調べた。さらに、全被検者のVAS平均値を基準として、平均値以上のH群と平均値未満のL群に分けた。2群間での年齢の有意な差はなかった。 この2群(H群、L群)を使うことで、痛みの量的な違いによる、心理的因子の影響を調べた。統計学的な分析は、Mann - Whitney U testによる比較を行った。【結果】 VASと不安要素、抑うつ要素、STAIの間には、相関関係が認められた。相関係数は、VAS と不安要素が最も高かった(ρ = 0.811)。次に、抑うつ要素(ρ = 0.765)、STAI(ρ = 0.705)の順であった。2群間での比較は、不安要素、抑うつ要素で有意な差が認められた(不安要素:p = 0.0325、抑うつ要素:p = 0.0156)。STAIには、有意な差が認められなかった(p = 0.1087)。【考察】 中井川は、疼痛性疾患群には抑うつ的で不安の強い患者が多いと報告している。今回の結果からも、痛みと心理的因子の関係が示唆された。特に、痛みの強い人ほど、心理的因子の影響も強い傾向が認められた。このことより、疼痛評価の際、心理的因子も含めた総合的な評価を行い、心理的因子へのアプローチの必要性を吟味していく必要があると思われる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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