理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP378
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測定・評価
小児理学療法領域で動作解析装置を用いた経験
*米津 亮清水 順市車谷 洋
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抄録
【はじめに】私は小児理学療法領域で6年の臨床経験を持つ。一番の悩みは『治療後対象児の動作がどう変化したか評価できたか?』である。豊富な臨床経験を持つ理学療法士に指導を受ける機会に恵まれた職場だが、指導を受け止める側の器量が不足すれば共有する知識も限られ、一人で治療を組み立てられない自分にもどかしさを感じていた。 そこで今回、3次元動作解析を用いた研究を通して治療の成果を自己確認する機会にもなった。得られた経験を共有したいと考え整理した。【対象】1歳10ヶ月の痙直型両麻痺児1名。四つ這い移動、椅子座位保持可能。つたい歩き、両手つなぎ歩行が可能だが、反張膝が著明だった。【方法】この研究は私と母親の協力で運営した。市販のデジタルビデオカメラ2台を用意。各関節運動を把握するため、身体9ヶ所にマーカーを貼付した。治療時間は25分間。治療前後に斜め前方と側方から起立動作を撮影し、比較検討の資料とした。 撮影したビデオテープを広島大学に郵送。3次元動作解析ソフト(Ariel dynamics社製.APAS-system)を用いてパーソナルコンピュータに取り込み解析した。解析したデータはインターネットを介して受け取った。【治療内容】両麻痺児の殿部を私の膝に乗せ、膝軽度屈曲位の立位で実施した。下肢の支持性を高める目的で、正中位での持続的な両手活動を通して中枢部の安定性を図り、股関節が伸展する反応を促通した。治療中の手ごたえは、腹部の揺れが減少し、おもちゃにリーチする際に股関節が伸展し、私の膝への荷重感が減少した感触を得た。 治療後の起立動作は、立位で膝関節を屈曲させ反張膝を自己修正できたが、それ以外の変化は確認できなかった。【結果および考察】動作解析の結果、膝関節の軌跡は治療前が後方へ5センチメートル、治療後が前方へ2センチメートル移動した。また、膝関節の角度変化は殿部離床まで治療前が110度まで細かく波打ちながら上昇したが、治療後はほぼ95度を維持した。これらのことから、治療後の起立動作は、殿部離床まで膝関節を一定角度に保持する筋活動を伴う動作に変化したことを確認できた。 今回の経験は臨床活動での研究を通して、自らの観察力を含む評価技能を向上するのに役立った。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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