抄録
【はじめに】 我々は第23回九州PT・OT合同学会で、微弱電流刺激でも皮膚血流量が増加することを報告した。今回の研究では、刺激条件を変化させた場合の影響を明らかにする目的で研究を行った。【対象と方法】対象は、健常若年男性15名とし、電流刺激装置としてトリオ300(伊藤超短波社製)を使用した。微弱電流刺激はマイクロカレントモードで、刺激強度300μA、周波数5Hz、パルス幅100msec、比較対照の刺激はTENSモードで、刺激強度は筋収縮を示さない最大強度、周波数200Hz、パルス幅250μsecの設定とし、刺激時間は両者ともに30分間で行った。刺激部位は前腕手掌面とし、電極は橈骨茎状突起と橈骨近位端を結んだ線の二等分線と、第3中手骨の延長線が交わる点(以下A点とする)から第3中手骨の延長線上の近位、遠位3cmの位置にそれぞれ配置した。被験者の肢位は背臥位とし、皮膚血流量に影響を与える室温は24.5から25.5℃となるように調節した。また、実験中には騒音などの外的な刺激が加わらないように十分留意して行った。血流量の測定にはレーザードップラー血流計ALF21(アドバンス社製)を使用し、仰臥位で5分間安静にした後、刺激開始2分前から刺激停止後の4分間まで、A点における血流量を30秒ごとに測定した。【結果】血流量は時間的な変動が大きく、比較を容易にするためにそれぞれ2分間の平均値を算出し、刺激開始前2分間の血流量を基準として、増加量で比較検討を行った。統計処理として一元配置分散分析を行った結果、両者ともに各時間における血流量に有意差が認められた(p<0.05)。そこで、どの時間帯の血流量に有意差がみられるかを検討するために多重比較(Fisher's PLSD)を行った。その結果、微弱電流刺激では刺激開始0から2分間と、刺激開始22分以降の血流量の間に有意差が認められた(p<0.05)。また、対照刺激では刺激開始0から2分間と、20分以降の血流量に有意差が認められた(p<0.05)。また、両者の違いを明らかにするために繰り返しのある二元配置分散分析を行った結果、両者に有意差が認められた(p<0.05)。しかし、多重比較(Fisher's PLSD)を行った結果、同じ時間帯には有意差が認められなかった。【考察】今回の実験結果から、筋収縮が見られない範囲であれば刺激強度や周波数を変化させても、皮膚血流量の増加には大きく影響を及ぼさないと考えられた。また、筋収縮を起こさない程度の電流刺激で、皮膚血流量を増加させるには、少なくとも20分以上の通電時間が必要と考えられた。今後、皮膚血量以外の指標を検討して、感覚閾値下の電気刺激による効果を明らかにしていきたい。