理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: OP644
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物理療法
外来物理療法に関する実態調査
*常川 幸生保田 和彦鶴見 隆正
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キーワード: 外来, 物理療法, 長期化
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抄録
【目的】 外来リハビリテーションでは,物理療法のみを行う患者が存在する.しかしながら,物理療法の受療とその期間との関係に関する報告は皆無に近い現状がある.そこで今回,物理療法の受療とその期間との関係について,調査を行ったので報告する.【対象・方法】 当院リハビリテーション科外来において,物理療法のみを受療する患者のうち,調査協力の得られた38名を対象に,聞き取り調査を行った. 調査内容は,基本的事項(年齢,性別,受療期間等),身体的側面(処方前_-_調査時における疼痛の比較等),心理的側面(不安やストレスの程度と疼痛との関係),社会的側面(外出機会の有無と内容,受療行為と生活リズムとの関係)について,それぞれ設問した.なお,不安やストレスの程度については,SDS(Self-Rating Depression Scale:自己評価式抑うつ尺度)から3項目を一部抜粋して活用した.【結果】(1)基本情報:対象者は男性17名,女性20名であり,平均年齢は75歳,受療期間は1年未満の者(以下,非長期群とする)が13名,1年以上の者(以下,長期群とする)が24名であり,そのうち16名が2年以上受療している者であった.(2)身体的側面:受療前後を比較し,非長期群では改善12名,悪化1名,長期群では改善17名,維持7名であった.(3)社会的側面:非長期群の約46%,長期群の約25%が,井戸端会議等への参加機会が無く,集会所等での「寄り合い」に,非長期群の約38%,長期群の約54%が定期的に参加していた.「寄り合い」等への参加機会のない人のうち,非長期群・長期群ともに約67%が,外出先を有しており,その場所として,「病院」が約57%で最も多く,次いで「田畑」「ショッピングセンター」の順であった.また,非長期群・長期群ともに,約9割の者が受療行為が生活リズムを形成する上で役立っていた.(4)心理的側面:「不安」「眠れなくなる」「ストレス」について,非長期群は平均2.9点,長期群が約2.1点であり,非長期群が高い傾向にあった.ストレスと痛みとの関係については,非長期群の約38%,長期群の約21%の者が,関係があると回答した.【考察】 身体・社会・心理の3つの側面から調査を行ったが,社会面については,長期群が非長期群に比べて外出機会が多く,予測された結果とは異なるものであった. 今後は,各々の側面から調査を行っていきたいと考える.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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