抄録
【はじめに】群馬県理学療法士会地域福祉局では、平成13年度事業の一つとして、県内の地域リハビリテーションネットワークづくりの一助とすべくアンケート調査を行い、連携の現状や課題等把握することが出来た。またその結果を基に平成14年度は関連職種による研修会の開催や連絡表の作成などの事業を展開している。アンケート調査の結果とその後の取り組みについて報告する。【対象と方法】平成13年10月、当士会会員(以下PT)324名/110施設、県内在宅介護支援センター及び未設置町村の社会福祉協議会または町村営居宅支援事業所(以下支援センター等)156施設の担当職員に対し、郵送によるアンケート調査を実施した。【結果と考察】回収率はPT:80.2%(260/324名)、支援センター等:59.6%(93/156施設)であった。 PTによる退院・退所時の連絡状況では「ほとんど」「必要時はいつも」と答えたものの割合は、病院に対して71.6%、老人保健施設に対して60.2%、老人福祉施設に対して47・1%、通所・訪問リハ担当者に対して45.0%、支援センターに対して42.1%、市町村保健師に対して16.2%であり、病院や老人保健施設へは比較的高い値を示すものの在宅関連に対してはいずれも半数以下と低い値であった。連絡を取らない理由としては在宅の場合では「連絡先・方法・どんな内容を連絡したらよいのか分からない」といった意見が最も多く、介護保険導入により市町村保健師の関与が減りそのシステムをPT自身が十分理解できていない現状がうかがえる。また逆にケアマネージャーや保健師などからの問い合わせを受けたことのあるPTは60.8%、支援センター等職員でPTに問い合わせをしたことのあるものは67.5%であり、PTからの情報を必要としている現状がうかがえる。ケアプラン作成におけるカンファレンスはあまり行われていないのが現状であり、PTの関与が少なければなおさら、我々は専門的見地からの情報を示す必要があると言える。 アンケート結果からは連携の基本である連絡すら十分に行えていない現状が確認できた。地域でのネットワークについては「十分出来ている」「まあまあ出来ている」と答えたものはPT22.4%、支援センター等19.4%といずれも低い値である。積極的に連絡を取っているものもいるが、全体としてはネットワークが不十分と答えているものほど連絡を取れていない傾向が示された。また同一勤務施設内では連絡の現状として同様の傾向を示しており、個々のPTが自覚をもって行動すると共に、勤務施設内、県士会全体として連携の確立に向けた取り組みが必要であることが確認できた。アンケート結果を基に平成14年度事業として、簡便かつ有益な連絡を図るための書式の作成、関連職種による研修会を開催している。今後県内各地域でネットワークの充実が図れるよう士会事業を展開していきたいと考えている。