理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: PP264
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地域リハビリテーション
I県K町における地域リハビリテーション確立への取り組み
*田村 邦彦小松 泰喜勝又 綾子和田 恵三谷 健富樫 早美伊東 典子
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抄録
[はじめに]近年、介護保険サービスと連携しながら、地域リハビリテーション(以下地域リハ)確立への取り組みが様々な形で行われている。しかし、医療機関や専門職不足の他、多くの問題により十分な地域での取り組みが提供できていない現状がある。今回、I県K町にて、地域リハ確立に向けての取り組みに関わる機会を得、「介護者の集い」、「K町リハビリ勉強会」という二つの取り組みを行い、参加者へのアンケート結果とあわせ、その内容について報告する。[対象と方法] I県K町は、人口10818人、高齢者人口2694人、高齢化率24.9%(平成14年4月現在)で、介護保険利用者が185名、介護度分布では、要支援が14名(7%)、介護度1が31名(18%)、介護度2が32名(17%)、介護度3が40名(18%)、介護度4が42名(20%)、介護度5が36名(20%)である。当町には、老人保健施設、特別養護老人ホームが各1施設で、医療施設も診療所が2施設のみである。当地域にて平成13年度より、介護保険サービス利用者の家族を対象に、地域リハや介護に関する啓蒙、啓発を目的に「介護者の集い」を実施し、介護保険、食事、排泄、入浴、リハビリに関するテーマにて、3ヶ月に1度行い、今までに5回実施している。また、平成14年度より当地域における介護保険サービス提供者や保健・医療・福祉に携わる行政職員を対象に、地域リハビリに関する知識の統一を目指し、「K町リハビリ勉強会」を実施し、地域リハビリに関するテーマにて月に1回開催している。[結果]「介護者の集い」では、平均25名程の参加者がおり、アンケートにおいて、多くの参加者から「日常介護の疑問が解決できる」「介護方法が知れる」という結果が認められた。「K町リハビリ勉強会」では、平均15名程の参加者がおり、アンケートより「他職種との情報交換ができる」、「リハビリに関する情報が得られる」という結果が認められた。また、介護保険利用者に対し、定期的な理学療法士によるADLの評価、指導を行って欲しいとの要望が出された。[考察] 「介護者の集い」の参加者は、日々の疑問を解決したいと考えており、「K町リハビリ勉強会」に参加している専門職の方々は、専門的知識を求め、他職種との連携を望んでいる結果と思われるため、継続した取り組みの必要性が推察された。しかし、当地域では地域リハビリに対するボランティア、住民などの育成や指導が不十分であり、また、理学療法士を含めた専門職間での連携促進が重要な課題と考える。そのため、大橋の述べている在宅自立支援ネットワークシステムを参考に、地域性を踏まえ、K町独自の取り組みが必要と思われる。[今後の取り組み]今後は、在宅での介護方法に関する「体験教室」を開き、広く地域住民の参加を促し、「K町リハビリ勉強会」において、効率的な連携システムの構築を計り、地域リハビリの確立を目指していこうと考えている。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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