理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QO478
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調査・統計
当院の肩腱板断裂患者における機能障害とQOLの関係について
*小川 史堀 寛史今屋 将美中山 朗三宮 克彦武田 浩志
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キーワード: 肩腱板断裂, SF-36, QOL
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抄録
〔はじめに〕臨床上、患者の機能障害の程度とQuality of life(以下、QOL)の間に差を感じることがある。今回は上肢機能障害とQOLの関係について調査したので報告する。〔対象および方法〕 対象は1998年8月から2002年10月までに、当院で肩腱板断裂に対して腱板縫合術を施行した患者83名のうち、下記テストでの術前評価が可能であった41名(男28名、女13名、平均年齢55.8±10.9歳)である。肩関節の機能障害のテストには日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(以下、JOA)を用い、機能障害の評価である疼痛・外転筋力・耐久力・日常生活動作(以下、ADL)・可動域(挙上・外旋・内旋)および合計点数に細分化した。QOLの評価にはSF-36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)を用いた。SF-36は患者へのアンケート調査で、項目はPF(身体機能)、RP(日常役割機能・身体)、BP(体の痛み)、GH(全体的健康感)、VT(活力)、SF(社会生活機能)、RE(日常役割機能・精神)、MH(心の健康)の8項目をそれぞれ100点満点で換算した。上記JOAとSF-36の各項目について各々の関係を調べ、SF-36については年齢と性別に応じた国民標準値との比較も行った。統計処理にはピアソンの相関係数の検定とクラスカル・ワーリス検定を用い、国民標準値との比較には対応のないt検定を行った。〔結果〕JOAとの比較では、PFとの間に相関が認められたものは、ADL(r=0.512)、挙上可動域(r=0.359)、合計点数(r=0.404)であった。また、REも同様にADL(r=0.309)、挙上可動域(r=0.372)、合計点数(r=0.319)において相関が認められた。ちなみにADLはGH(r=0.512)とMH(r=0.342)にも相関が認められた。その他の項目では相関や有意差は認められなかった。またSF-36の国民標準値との比較では、GH以外の項目が有意に国民標準値よりも低値を示した。(p<0.05)〔考察〕 今回は肩腱板断裂に起因した上肢機能障害とQOLの関係を調査した。結果として、PFとREがJOAの数項目との相関を認めた。この理由としてPFはSF-36のうち、唯一機能障害を問う質問であるためと考えられる。また、REは仕事や活動の阻害の程度を問う質問である。腱板断裂患者の中には上肢を酷使する職業の者が多く、影響を受けたと考えられる。ちなみにJOAからみると、ADLがSF-36の4項目と相関を認めたものの、相関は弱かった。今回の結果より、肩腱板断裂患者の上肢機能障害とQOLは必ずしも関係しないことが窺われた。今後は他の上肢機能障害や下肢機能障害患者にも同様の調査を行い、機能障害とQOLの関係について検討したい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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